さて残ってるのはメインディッシュ、
ヴァン父と神官、ゲーム中で、テラネの町の実力者とされている人物について。
冒険者には基本的に好意的な人々の多いバイアシオン大陸において、数少ない悪意剥き出しな方々。ある意味珍種といえなくもない。あとはアンティノとかですかねぇ…。
ここまで嫌ってくれるといっそ面白いので、逆にじゃあなんでそこまで素敵思考してくれるのか、ということをつっこんでみよう、という無駄きわまりなく、かつアホとしか思えない考察です。
今回はあんまりにも長くなりすぎたので、ヴァン父のみ言及したいと思います。神官さんは、宗教絡むのでやっぱりワンクッションおかなきゃ駄目でした。
どう頑張ってもとりつくろえない言動の数々で、好かれる方が難しいお方。全キャラ中でも初期に仲間になりやすいので感情移入もしやすいナッジに対してのアレな言動もあいまって、いっそここまで嫌ってくれると面白い、というフザけた思考なしには好きになりようがない。
一貫して悪意を隠そうともしないですね、テラネスタートでは勿論、他スタート主人公でも同様。テラネスタートの場合は「町の厄介者の片割れ(言うまでもなくもうひとりはナッジ)+冒険者」として疎まれ、他スタートの場合は「冒険者」として嫌われます。
さてこっから先は完全妄想世界に突入です。
ゲーム中、ヴァン父の人物像ははっきりしておりまして、
1.「モンスターペアレント/バカ親」
2.「テラネの実力者」
3.「厄介者嫌い」→「ついでに冒険者も面倒ごとの材料になるので嫌い」
4.「巡礼客の評判は良い」
こんなところでしょうか。順番に、私なりに噛み砕いた妄想を順に書いてゆくことにします。
1「モンスターペアレント/バカ親」
ヴァン両親の言動はまさに、モンスターペアレントの典型例。
ヴァンは実はテラネでも評判(笑)の悪戯坊主、というのはテラネスタートでやるとよくわかります。ついでをいえば、ヴァン父があそこまで冒険者を嫌悪するきっかけにになったガルドラン事件に関しても、どっちもどっちです。言い掛かりつけてきたのはガルドランなんだけど、ヴァンもなあ…あの対応はなかろうよ、そりゃムカつくかもしんないけど。流石に町の人々はヴァンに同情的にならざるをえないようですが、それでも酒場のマスターや教会にいる少女なんかはヴァンの悪戯にはウンザリしてるようですし、ヴァン自身も結構幼い言動が目立ちます。そんなヴァンなんですけど、この親からすると「ヴァンはお前らなんかと違う」
現実を見てない。或いはよっぽどフィルタがかかってんのか。
モンペっぷりはむしろ母が担当かな?とも思うんですけど、いやいや、父もかなりの筋金入りでした。
ガルドランをナッジが殺してしまい、ヴァンが宿を継ぐパターンでのみ見られる、ヴァンが親父を説得するイベントなのですが。
この偏見の塊のヴァン父が、なんと主人公に謝るばかりか、頭を下げます。笑えます(一言余計)
……これは意識が変わったっていうわけではなく、単に息子に諭されたからだけだろうな、と思います。息子が家業を継いでくれる、と言った以上は全部息子任せにするつもりだったのかなあとも考えられますが、どっちにしても、息子に諭されたら態度180°変わってしまう、それもどうなんだか。確かにヴァンの言う事の方がはるかに理屈通ってるというのもありますけど、じゃあ今までの嫌いっぷりは何だったんだよ。おいおい愛息子の説得にはコロリかよ。
何にせよヴァンが世界の中心、といってもいいほどの偏愛っぷり。
2「テラネの実力者」
これはもう、テラネという町においてはゼニを自由に動かす権限のある唯一の人間である、というそこに集約されるのではないかと思います。エンサイクロペディアでは、元々ヴァンの家系は地方豪族のようなものであって、宿屋を開業したのは数代前である、と明記されております。裏設定、で没設定、ではないので、ここは根拠として利用させてもらってもよいかな私は判断しました。となると話はもっと簡単になりまして、ようはこの一家がテラネの繁栄に一役買ったのではないでしょうか。現在のテラネが宿場町として存在しているのも、彼ら一族あってのものでしょう。
なので、多少偏見があろうとも、その人格に問題があろうとも、その地位は揺るがない、ということにもなってしまいますね。ただ、幸いにも、このヴァン父は偏見は凄まじいもののの私利私欲で利潤を一人占めしようというタイプの悪人ではないので、テラネという町はそれ(※冒険者に冷たいという世間的評判)以外には何ら問題のある町ではないようです。
テラネの実力者、という名称は、ヴァン父の他には神官にも使われておりまして、果たしてどちらの方が発言力があるのか、と言う事を憶測するには情報が少なくて明言は出来ませんけれど、多分ヴァン父なのではないでしょうか。というのは、神官は実はヴァンの悪戯には散々悩まされているのですが、それを咎め厭う発言はかなりあるものの、実力行使にまで至ってないから、という根拠としてはちょっと薄い、あくまでも憶測からです。このへんの曖昧さは、バイアシオン大陸における宗教観のゆるさにも起因してまして、逆に宗教観が可也厳格であれば、この立場は簡単に逆転してしまうんですけどもね…。というか宗教に関しては、私自身がイマイチ納得しきれてないので、今回はそっちにつっこむのは止めておきます。つっこむ気力がある時にでも。
閑話休題。もう一つ私がそう考える根拠に、テラネという町そのものの成り立ちがあります。そのへんは上記で触れましたので割愛しますが、町を作った張本人の子孫で、しかも自由に銭を動かせる。こちらのほうが根拠としては強いですね。
そして、その実力者としての評判はどうかというと、良くも悪くもない、というのが妥当でしょうか。
というのも、ヴァン父の統治者としての姿を批判している人間は存在してないんですよね。偏見に対してボンガ氏が苦言を呈してたり(*テラネスタートイベント)、町の人間が主人公たちに同情的な言葉を吐く事はあっても、では現在の町のありかたに関して不満があるのかというと、そうではないようで。特別満足しているという印象もなかったんですが、不満なんだなあ、という印象もなし。そういったセリフもなし。仕事に対しては誠実な人間のようです(→4「巡礼客の評判はよい」
3「厄介者嫌い」→「ついでに冒険者も面倒ごとの材料になるので嫌い」
最初に語ってしまいましたが、この人物に関して一番最初に抱く印象はコレだと思われます。
テラネという町の存在を考えますと、特別批判されるような考え方ではないんですよね、ヴァン父は極端すぎるので問題なんですけども、その辺は差し引いて考えてみれば、町を統治する、という題目からそういう発想をすること自体は不自然ではありません。
よそ者=厄介者という発想ですがようはヴァン父のような統治者(一応そういう立場ですね)からすれば、町を統治するためのある程度のローカルルールが通用しないので厄介。町に住む人間は必要性も理解してるので黙っても言う事聞いてますけど、外の人間にはそれが通用しない。ルールを破る可能性のある人間は、できれば避けたい。それはただひたすら平穏に日常が過ぎることを願うような一介の人々からすれば、珍しい思考ではないでしょう。
ただこのよそ者=厄介者定義から外れる唯一の例外が、霊峰トールへの巡礼者。これはテラネの主な収入源になりますので、別枠なんでしょう。また、巡礼をするほど敬虔な人間であれば、この場合はヴァンよりもむしろもう一人の実力者でもあるノトゥーン神官のほうが、ある意味で抑制力たりえますしね。というわけで、巡礼者に関しては、このよそ者=厄介者認定からは辛うじて外されます。
また「厄介者」としてヴァン父が名指しで嫌ってるナッジですが、まああれも、彼のような立場からしたらありだと思います。保守的な人間が、元から人間偏重の風潮がまんべんなくあるバイアシオンにおいて、ただでさえ冒険者や闇商人みたいなアンダーグラウンドで胡散臭くて危険極まりない連中から狙われているコーンスを匿うわけがありません。ヴァン父にすれば、コーンスという種族は、存在するだけでトラブルメーカー、みたいに思ってるんではないでしょうかね。ただ、追い出すというまではいかないところを見ると、ヴァン父はそれなりに理性もあるんでしょうかね…追い出すという事をしてしまうと、ナッジに対して好意的な人間を敵にまわすし、ナッジに対してもっとも好意的な人物=最愛の息子ヴァンの信頼を損なうのは目に見えておりますから、辛うじて実行まで至ってない、というだけでしょうけれども。
「冒険者が嫌い」というのも、同様に冒険者というのは規律などに縛られる事のない無法者の代名詞たりえますので、ルールから逸脱した行動をとりやすい(=これもヴァン父の偏見からくるものでしょうが)、として嫌悪していてもそんなにおかしくはありません。ヴァン父はそもそも厄介者、と頭から決めつけてる。もう偏見が偏見を産み誤解を重ねてしまってるあたり、視野が狭いとしかいいようがないんですが、小さな町の実力者、巡礼者相手の宿場町の取り締まり役としては、それでもよいのでしょう。
…ただし、ここまで嫌うには何らかの理由がありそうですね。妥当なのは過去に質の悪い冒険者によって何らかの不利益を被ったんじゃないんかな、とも考えられる。偏見が生まれてしまった、何らかの理由はあるはず。
なぜ私がそう考えたのかといえば、ヴァン父は、ただ単にガキじみた好き嫌いだけで嫌いだという主張を世間に出来るほど、無責任な立場ではありませんから。(→2「テラネの実力者」)
ここでちょっと、この世界における冒険者という職業について触れます。
基本的にバイアシオン大陸における冒険者(zill世界、でもいいんですが)というのは一つの職業として成り立ってるわけで、探索、配達、怪物退治等はむしろその他の人間してみれば有難いわけですから、そこまで何も嫌悪する必要はない、どころか、嫌悪する事で逆にテラネ周辺に近寄る冒険者が少なくなってしまい(事実ゲーム中ではそうなってしまってますね)困った事になりかねない。基本的に冒険者とそれ以外の人々とはギブアンドテイクの関係の筈。
人間様は町だの国だのっていう概念がありまして、一応そのルールに従って行動しておりますけれど、モンスター連中にそんなこた関係ない。人が集う場所に何らかの結界のようなもんがはり巡らされてるんであれば別ですけど、んなこたぁありえない。宗教都市的な側面のアルノートゥンやエルズは兎も角として、こんな田舎町では、そんな力のある神官さまもおりませんし。それでも人間その他、モンスターといった生き物全般、基本的な棲み分けってのはしているようですが、それでも事故と言うものはいつ何時起こるかわからない。
具体的には、町の中にイキナリモンスターが入り込んだ、だとか、町の人間がモンスターに襲われた、だとかですね。そういった場合、対処する手段を、テラネの町で持っているとは思えませんし、アミラルのように自警団というものを持っているわけでもありません。そういった外的脅威の対処法としては、冒険者を雇う、というのが妥当な手段であるわけです。
話をもとに戻します。
つまり、バイアシオン大陸において、冒険者を厭う、ということは、何かあった場合に対処してくれる人間に対して自らおとといきやがれ、と唾はいて塩まいてるようなものなわけです。
流石に町の統治者たるもの、そんなリスクくらいは把握してなければそもそも統治者たりえません。
さらには、ヴァン父は巡礼客の案内なんかもしているようなんですよ。(町の人のセリフからなのですが、どの場面で出たのか失念しました)
それこそ、冒険者に頼めばいいような危険を孕む仕事も、自らすすんでやってるところ見ると、筋金入り。(余談になりますけど、この事からヴァン父はある程度強いんじゃなかろうか、という憶測も可能だったりします。道中モンスターと出くわす事だってあるだろうから)
と、そんな冒険者嫌いなヴァン父なんですが、ヴァンの事件の前は冒険者も宿泊を許していたようなんですよね。その根拠としてはテラネスタートでのみ見られる、ギルドにいる女魔道士のセリフ(及び冒険者、肝っ玉かあちゃんのセリフ)です。彼女は宿に泊まってヴァンに着替えを覗かれた、と怒ってます。これ自体は彼女の誤解なんですけど、ヴァンがガルドランに大怪我を負わされる以前は、冒険者という存在を疎ましいとは思いながらも、必要な存在として黙認はしてたのではないでしょうか。でなければ町の中にギルドが存在してるのもおかしくなってしまいますし。
ただ、ヴァンの事件によって、あまり良くは思ってない→宿泊なんてとんでもない になってしまったんではないのかと。冒険者=厄介者 という認識も、ほとんどガルドランが植え付けちゃったようなものでしょう。
しかしこんなテラネなのに、ちゃんと冒険者も訪れているんですから、冒険者って連中は、ある意味物好きというかボランティア精神に溢れてるな…と、思う。そういう姿を目の当たりにしないはずもないんですけど、伝家の宝刀都合の悪いことはなかったことになんだろうなあ、このへんは。
4「巡礼客の評判は良い」
これは、酒場のアキュリュースの商人からのセリフだったか…、教会にいる船長だったかな。
アキュリュース商人は兎に角ヴァン父の接待にいたく感動してまして、ベタ誉めしております。冒険者以外の外の人間からは、どうも評判はよいようで、接客業を営む人間の仕事ぶりとしては、それなりに評価されているようです。責任感は強いのでしょうね。厄介者、冒険者嫌いというのも、その責任感の強さ(=町の平穏を守らねばならない、巡礼客の安全を最優先しなければならない等)からくるものと考えられますし。
と、以上のようにまとまりきらない至らない文章なんですが、私はヴァン父に関しては、このように思っております。色々とまだ不備はあるんですが、そちらはおいおい追記します。考察としてはまだ弱いんですよね、ちょっと。憶測だらけだし、歯切れ悪いですしね…ただ、メインキャラではない、辛うじて名前と顔のあるヴァンという元村人の父親、というだけの彼にそこまでつっこんでほっくりかえすのもどうかと思わなくもないんですが、ヴァンというキャラを考える以上無視出来ない人物なんですよね。
更には、ヴァンは両親を嫌っているわけでもなく、またヴァンというキャラは性根が歪んでいるわけではない、というところと、この父親(及び母親)の偏屈っぷりに疑問を持ってしまったので、色々と私なりに噛み砕いてみようかな、と思ってここまでくどく妄想をしてみました。尚、母親に関しては、父親に増してまったく情報がないといってもよい上に、父親と違って立場からの考察、というのも不可能なので省かせていただきました。軽く考察出来ましたら、改めてなんか書き出すかもしれませんけれど。
思いつくがままの悪文にもかかわらず、お付き合いありがとうございました。
[06.06.26初出]/[09.10.09改稿]