仕掛けられた罠

「カスパルくーん、勝負して勝ったら、なんでもいう事聞いてくれるって本当?」

 訓練場では殆どきかない、のんびりした少女の声に、カスパルは汗を拭いながら振り返る。

「おっ、ヒルダか!もちろんだぜ!お前、金鹿の学級の中でも相当の実力持ちだって聞いてるし、勝負してくれるならなんでもいう事きくぜ!」
「ほんとにー?ヒルダさんにうっかりなんでも、なんて言っちゃうと、ちょっと大変かもよー?」
「男に二言はねえぜ!よし、やるなら早く相手してくれよな!」
「ふふ、ほんとに言うこと聞いてくれるんだよね?」

 言いながらヒルダはにっこりと笑う。その笑みに特に作為を感じるわけでもないカスパルは「おう」と即答すると、ヒルダの笑みはますます深くなった。

「よおっし、それじゃ、はじめよっか!ヒルダさんすこーし真面目になっちゃおー」


「いてて……くっそー、ほんっとに本気で来やがったな!?まあ、楽しかったけどよ」

 結局勝負は、ヒルダの勝ちに終わった。といってもカスパルが弱かっただとか、まったく歯が立たなかったわけではない。五分五分とまではいかずとも割とよい勝負だったのだが、最終的にはヒルダに軍配が上がったのだった。

「あはは、ごめーん。じゃあさ、あたしの部屋に来てくれない?手伝ってほしいことあるんだー」

 訓練中の気迫はどこへやら、いつものヒルダに戻った物言いに多少ぽかんとしつつも、カスパルも勝負は勝負なのだからと、頷く。

「そんなんでいいのか?まあ、よくわかんねえけどいいぜ」
「やった!じゃあ、早くいこいこー」

 カスパルの返事を半ば待たずに、ヒルダはその背中を押して訓練場を後にするのだった。



「なんでドロテアがここにいるんだ?」
「えー。いやまあ、ちょっとね。まあまあカスパルくん、とりあえずこっち座って座って」

 ヒルダに連れてゆかれていった彼女の部屋には、何故かドロテアが寝台に座ってくつろいでいた。座って、とはどこにだろう。間抜けなことをカスパルが考えているスキに、ヒルダに背中を押されてカスパルは寝台につっぷしてしまう。

「うっわ!何すんだよいきなり!」
「あははごめーん。カスパルくん、相変わらず察しが悪いからちょっと面白くなっちゃってー」
「何のことだよ!?」

 思わずがばりと上半身をあげ、ドロテアとヒルダに食って掛かると、二人は目を見合わせてくすりと笑う。なんだかその笑いに妙な悪寒を覚えたのは、気のせいだろうか。

「えーっとつまり……こういうこと」

 言いながら、ドロテアが豊かな胸をカスパルの腕に押し付けてくる。ふにゃり、と温かくて柔らかい感触にカスパルが奇妙な悲鳴をあげるや、今度はヒルダがカスパルの下半身に馬乗りになってきて、あろうことか太ももの、それも非常に際どい部分をまさぐりだしたのだ。

「おまっ……お前ら、な、なにすんだよ?!」
「ナニって……カスパルくん、勝負してあたしが勝ったから、何でも言う事聞いてくれるんでしょ?」
「そ、そりゃいったけどおま……こういうのじゃねえだろ?!」
「こういうのもそういうのもありませーん。なんでもいう事聞くっていったの、カスパルくんだよー?」

 ヒルダは非常に楽しそうにカスパルの、少しずつ反応してきている股間をふにふにと指先でいじくり倒す。その度に下肢がぞわぞわと反応して苦しくなり、カスパルが奥歯をぐっと噛みしめた。

「そうそう、ヒルダと二人で、カスパルくん絶対こういうの初心そうだよねって話になってね?ちょっと、悪戯したくなっちゃった、っていうか」

 一方のドロテアはといえば、その豊かな胸を半ば放り出すかどうかのぎりぎりのラインまで衣服を脱いで、乳房を腕や手首、手のひらに押し付けながらカスパルの耳元に息を吹きかけてくる。

「やっ、やめろって!ナンだかヘンになっちまう!」
「やぁよ、だってカスパルくん、すんごく今かーわいい顔してるんだもの」

 ちろり、と舌を這わせたドロテアが、そのままカスパルの耳朶をねっとりと舐めてゆく。
 一方ヒルダはカスパルの窮屈そうなズボンと下着を脱がし、半勃ちしているカスパルのモノを器用に指先で揉みしだいている。女性二人に囲まれ(というか襲われ)、二人の甘い匂いにくらくらとしながら、しかも敏感な箇所を同時に攻められて、カスパルはああ、だのひっぇえ、だの奇妙な声をうわごとのように繰り返すことしかできない。
 そのたびに二人はにこりと笑みを浮かべては、行為を繰り返す。気づけばドロテアの乳房は片方は殆どむき出しになっており、固く尖った乳首がカスパルの二の腕の上で違う刺激を与えてくる始末で、彼女自身うっとりしながらカスパルの耳朶や頬を舌と唇で犯してゆく。ヒルダはヒルダで完全に勃起たカスパルのモノを微妙な力加減で揉みしだき、あるいは上下にさすり、かと思えば突然鈴口に尖った指先を突っ込んでくるものだから、カスパルは反射的に情けない悲鳴を上げてしまった。

「ヒッ、ぁ……も、やめ……」
「えー。まだまだ足りないよー。だってカスパルくん、ちゃんとイッてないよね?まずはちゃんとイかせてあげるー」

 にっこり笑ったのはヒルダで、とたんに彼女の竿を擦る手の動きが性急になり、精嚢まで同時に揉まれて無理矢理昂らせられたかと思えば、堪えきれないほどの快楽とともに、カスパルはあっという間に射精してしまった。

 べたべたとした精子はヒルダの衣服の胸元にかかってしまい、それはそれで異様にそそる光景なのだが、今のカスパルにはそんな余裕はなかった。ドロテアに唇を奪われたまま、舌を舐められ、吸われて必死に鼻で呼吸をしながら顔を真っ赤にしていたのだ。
 すると、どうだろう。一度欲望を吐き出したはずのカスパルのモノが、再びゆるりと勃ちあがってくる。それを見てカスパルの精子をぺろりと舐めていたヒルダは再びにっこりと笑うと、指先でつん、とその先端部分をつつくのだった。

「ふふ、カスパルくんまだ元気みたいだねー?これなら、結構楽しめそうかなー?」

「ぷはっ……。そうねえ、キスも、初めての割に結構上手だし。まだまだ夜も長いから、三人でたーっぷり、楽しみましょう?」

 二人の凶悪な笑みに、カスパルはもう自分は肉食獣に捕らえられた獲物なのだと悟るしかなく、がくりとうなだれるのだった。
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