女の悦びを知らない男なんて、ただの童貞に過ぎない――だけど愛の形は自由自在?

 激戦だったメリセリウス攻略戦。そして帝都を取り戻した歓びと相まってか、戦場は一時の歓喜に包まれていた。皆が浮かれ、酒を飲み、料理を味わう。その中で際立ってはしゃいでいたのはコンスタンツェで得意の怪しげな魔法を使い、それをかけた酒をこともあろうかアッシュに手渡したのだ。
 曰く、今回の戦いの中でも特に功労者なのに、控え目でさっぱり目立たないのだから、せめてこのコンスタンツェが祝ってさしあげましょう、とのことだった。
 コンスタンツェの魔法——そう聞いて複雑な気持ちにならないものはいないだろう。何せ彼女の魔法は怪しい。とにかく効果が的外れなことが多いのだ。だが、アッシュも彼女の善意を無下にすることは出来ず、半透明の美しい青色の液体を飲み干した。
 すると周囲から歓声が上がる。

「よ、男前なのみっぷりだな!アッシュ!」

 遠慮なく肩を組んでくるのは友人のユーリスだ。だがそのめはどこか怪訝そうで、こっそりと「何かあったら俺様の部屋にこい、たいていのことはなんとかなるからな」とそっと耳打ちしてくれた。

「大丈夫だよ、ユーリス。ちょっと変わったお酒みたいな味だし――」

 アッシュの言葉はそこで途切れた。

「アッシュ!?」

 ぐらりと傾いたアッシュの身体を一瞬で支えようとしたユーリスを押しのけてシルヴァンが駆け寄ってきてアッシュを抱きとめる。ユーリスは大仰に顔をしかめながらも、シルヴァンとアッシュが恋仲ということを知ってもいたのでこれ以上の邪魔をしないようにと肩を竦めて去っていった。

「お嬢さん。せいぜいちゃんと面倒見てやれよ」
「は、言われなくても」

 鷹揚に返すシルヴァンの声はやたらと上機嫌で、ユーリスは苦笑しながら皆の元へと戻るのだった。



「アッシュ、アーッシュ、大丈夫か?」
「ら、らいりょうぶ、れす……」
「あー、こりゃ大丈夫じゃねえな……。水、持ってくるからちょっと横になってろ」

 アッシュの部屋までアッシュを運んだシルヴァンは、ぽやぽやとしているアッシュを寝台に寝かせ、水を取りに行こうとした。しかし動けない。見ればアッシュがシルヴァンの腰に腕を回していやいやとむずがるように頭をこすりつけているのだ。

「シルヴァン、いかないれくらさい」
「あー……」

 大きなため息をつきながら、アッシュの頭をぽんぽん、とシルヴァンは撫でる。ほんのりと染まった目元や口元、じっと見つめてくる潤んだ瞳、誘惑されないわけがない。それにやたらとアッシュから甘いよい香りがするのも気になっていた。

「水、持ってくるだけだから。心配すんな、いなくならねえよ」
「ほんとれすか」
「本当、本当。お前に嘘なんかついたこと、なかったろ?」
「……はい……」

 不承不承、ではあるのだろうが、シルヴァンの腰から腕を離してアッシュは寝台に横になった。それでも不安げにシルヴァンを見つめているものだから、後ろ髪惹かれつつもシルヴァンは部屋を後にしたのだった。



 最初は、何が起こったのかよくわからなかった。そこに寝ているのは確かにアッシュだ。アッシュに間違いはない。ただし、衣服が妙にはだけていて呼気が荒く、何よりもその胸元がふっくらと盛り上がっているのだ。顔はアッシュのままだし、シルヴァンが声をかけると億劫そうに眼を開けて上体を起こす。上体を起こした時にはらりと上半身を覆っていた衣服が脱げて胸元が殆ど丸出しになったのだが、そこには確かに女性である証拠の乳房が存在していた。

「アッシュ……だよ、な……?」
「はい?そうれすよ……なにいってるんれすか……」

 まだ酔っぱらっているのか状況を把握できていないのか、アッシュは固まっているシルヴァンに不審げな目を向けて唇を尖らせる。

「それよりこっち、きてくらさい」

 たどたどしい口調で言われても、動けない。動けるわけもなかった。恋人が突然女性になっているなど、ありえないことだからだ――否、思い起こせば、アッシュはコンスタンツェが用意した酒を飲んでいた。アレが十中八九原因だろう。ただし彼女の魔法の悪いところは、解決策が殆どないということなのだ。
 とはいえこのままではまずい、と思ったシルヴァンは急ぎアッシュに近寄り、衣服をしっかりと着せた。

「やらあ、あついれす……」
「いいからちゃんと着てろ!こっちの身が持たない!」
「何がもたないれすか……」
「なんでもいいから、俺が戻ってくるまで絶対にここを動くなよ?水は置いておいたから、これでも飲んで寝てろ、いいな!絶対に部屋から出るなよ!」

 シルヴァンの必死の形相に、流石に何かを感じ取ったのかこくこくとアッシュは頷いてカップを手に取り水を口に含みながらはあ、と吐息を漏らした。その吐息すら甘い香りがして、シルヴァンは酩酊するような感覚に襲われる。事態が事態じゃなければこのまま襲っているところだろう。だが、まずはこの状況をどうにかしなければならない。

「じゃあな。アッシュ、絶対に、絶対に部屋から出るなよ!」

 言い残すとシルヴァンは宴会場へと駆けだしたのだった。



「……女性になってしまった?私の魔法で、ですか?まさか、あのお酒は気分を良くさせる効能は確かにありましたけど、そんな効果はありませんことよ」
「けど現実にアッシュは女になっちまってるんだよ!何か元に戻る方法はないのか?!」
「もとに戻る方法と言われましても……そもそも意図した効果ではありませんから、どうにもなりませんわね」

 あっさりと言ってのけるコンスタンツェにシルヴァンはがくりと頭を垂れる。横ではユーリスがご愁傷様、とばかりにニヤニヤと笑い、ハピはうっか溜息をつきそうになるのをこらえて噎せていた。

「けどよう、別に何か問題あるわけじゃねえんじゃねえのか?お前ら恋人同士なんだし」
「あのなあバルタザール。俺はよくともあいつはよくねえだろ。男から女になっちまったら、それだけでショックを受けないか?」
「……ああー……まあ、確かになあ。急にそうなっちまったら、ショック受けるかもしれねえなあ」
「常識的に考えてショックを受けない方がおかしいだろ……今あいつは酔っぱらってるから事態がわかってないだけで、気づいたら相当ショックを受けると思うんだよ。どうにかしてやりたいんだが……」
「けど、実際どうしようもねえんじゃねえの。原因がわかっても、戻る方法がわからねえんじゃあなあ」

 他人事のように言うユーリスに若干腹が立ったが、現実問題そうなのだ。シルヴァンは唇を噛み、肩を落とす。

「ま、そんな落ち込みなさんな。悪いことばかりでもないだろうよ」
「どういう意味だよ」
「お前さんの方が、わかってるんじゃないのか?」

 にやりと笑うユーリスに、シルヴァンは更に溜息を落とすのだった。



「シル、ヴァン……シルヴァン……」
「ああ、悪かったな、一人にして。不安だったか」
「はい……よくわからないけど僕……女の子になっちゃったんですか……?」

 酔いが流石にさめたのか、胸の前で服を抱くようにして小さくなっているアッシュはあまりにも哀れだった。思わずシルヴァンは手を伸ばして抱きしめ、背中をさすってやる。

「……残念ながら、コンスタンツェの魔法でそうなっちまったらしい。解決法もわからないときた。けどな、アッシュ、諦めるなよ、諦めたらそこでお終いだからな」
「シルヴァン……。ありがとう、ございます……」

 アッシュの声は怯えていた。当たり前だろう。突然女性になってしまったのだから。

「あの、……一緒に……いてくれますか?今晩だけじゃなく……その……不安で……」
「頼まれなくともそうするさ。お前は俺の大事な恋人、だもんな」

 言いながら薄く小さい唇に口づけを落とすと、アッシュもそれに応えるように唇を合わせてきた。やがて舌が入り込み、くちゅ、ぴちゃ、と水音が響き渡る。舌先を絡ませ合い、口裏と歯列を舐めてからもう一度舌同士を絡め合い唾液を交換する。シルヴァンは早急にアッシュに着せていた上着を脱がせると、小ぶりな乳房に触れた。ぷるん、と柔らかく揺れる乳房はシルヴァンの大きな手により形を変えて薄い桃色の乳首が刺激により勃ってくる。口づけを終えるとシルヴァンはそのまま立ち上がった乳首を口に含んで舐めまわした。

「あぁんっ、や、なんだか……いつもより、感度が……」

 舌先で何度も何度も乳首を刺激しながら、もう片方の手で乳房をこねくりまわし、乳輪を輪を描くように刺激するとアッシュの腰が上がってきた。

「あんっ、やぅ、そこだけ……」
「お前、乳首弱いもんな……」

 甘く耳元で囁きながら、再び乳首を口に含んでカリリと噛むと、アッシュの口から甘い悲鳴が上がった。

「やぁんっ!いたっ、や、あっ!」

 同じくもう片方の乳房の乳首はつま先でつつくように刺激して、口に含んだ乳首は舌で舐りまわす。アッシュの腰がゆらゆらと動いているのが視界に取れて見えたのをよいことに、シルヴァンは乳首への刺激を与え続けた。もう一度勃起した乳首を噛むのと同時にもう片方の乳首に爪を立てると、アッシュは身体をしならせて嬌声を上げ、かくりとシルヴァンの方へと倒れ込んできた。

「イっちゃった?」
「……も、う……いじわるです……」
「ごめんな?でも、お前のおっぱい、可愛くて仕方ない」
「大きくないですよ……」
「俺は別に大きいのが好きな訳じゃねえし、お前のだから好きなんだよ」

 言いながらシルヴァンは尚もアッシュの乳房をゆるゆると揉みしだく。そして乳房のあちこちに口づけを落としだした。白い乳房は吸われたところだけが紅くなり、それだけで艶めかしくいやらしい。シルヴァンはべろりとささやかな乳房を舐め、そして再び勃起している乳首に噛みついた。

「や、ぁんっ!乳首っ、もう……!」

 くりくりと空いた方の指先で乳首を愛撫していると、乳首の中央部から乳白色の液体がじわりと滲んでくる。

「アッシュ、お前、これ……」

 シルヴァンは目を輝かせてその乳白色の液体をぺろりと舐めた。

「あんっ!」
「おまえ、おっぱい出るんだな」
「そんな……!魔法の所為ですよ!」
「そうかもしれないけど、むちゃくちゃえろい……」

 尚も乳房への愛撫を執拗に繰り返すシルヴァンに、アッシュはもどかしそうに膝をすり合わせてその腕を取った。

「シルヴァン、胸ばかりじゃなくて……こっちも……」

 シルヴァンの大きな手を取り、アッシュは自らの脚の間へと導く。そこは既にしとどに濡れており、くちゃ、といやらしい音がした。

「アッシュ……すげえ、濡れてる」
「だって、君が……」
「わかったよ、じゃ、今度はこっちにしような」

 言うなりシルヴァンはアッシュの又坐に顔を落として、役に立たなくなった下着をはぎ取ると秘裂を舐め始めた。

「ひゃぁあんッ!いきなり、やめてくださいっ!」

 強烈な刺激にアッシュはビクリと全身を震わせて、シルヴァンの頭を掴む。けれどもシルヴァンは応えることなく、愛液が溢れてくる秘所を丹念に舐め続けた。やがて秘所の上にある花芯に舌先で刺激を与えると、アッシュの痩身が再び震え、甘い嬌声が頭の上から降ってきた。

「やあぁ、そこっ、……ああんっ!」
「女の子の気持ちいいところ、ちゃんと気持ちいいんだな……アッシュ」

 そのままシルヴァンはクリトリスをじゅっと吸うとアッシュはシーツを握りしめて必死に快楽に耐えるようにふるふると震えた。

「シル、ヴァン、……そこっ……」
「気持ちいいんだろ?」
「ん……や……っ」

 シルヴァンは充血したクリトリスを再び吸い上げるとアッシュからカン高い嬌声が漏れ、愛液と共に大量の潮が吹き出てきた。暖かくて愛おしい体液を顔に浴びながら、シルヴァンはぺろりと舌なめずりをする。

「あ、やだ……シルヴァン……」
「大丈夫だって、このくらい。それより、俺もそろそろ限界だから、いい?」

 質問の意図がわかったのだろう。アッシュはふるふると震えながらもこくりと頷く。

「避妊具は……あー……あるわけ、ないよな……」
「……です……」
「アッシュ?」
「そのまま、生、で、……いれて、いいです……」
「アッシュ、お前……それって、……孕むかもしれないんだぞ?」
「……でも、君の子ですから」

 そういって満面の笑みで笑うアッシュの笑顔は、眩しすぎるほどに眩しかった。男に戻れるかもわからない不安な状況で、混乱しているだけかもしれない。けれどもそのアッシュの笑みを見て、シルヴァンはぷつりと理性の糸が切れる音を聞いた。
 早急に下肢をくつろげてペニスをとりだすと、既に欲望でガチガチに固まった赤黒いペニスは牝を欲していた。

「アッシュ……いいか……?」
「はい……」

 ガチガチに固まったペニスを陰唇に近づけて合わせると、くちゅり、といやらしい水音がした。たっぷりの愛液に塗れてペニスはそのままアッシュの膣内へと入ってゆく。いつもとは違う感覚だったが、まとわりついてくる肉壁と熱さは同じかそれ以上に貪欲で、牡を捕らえて離さない牝の獰猛さにシルヴァンは背筋にぞくりとしたものが走るのを感じた。

「んっ、いい、です……もっと……奥に……」
「アッシュ……、アッシュ……!」
「きもち……い………いつもより、すごく……あんっ!」

 こつり、と子宮口に亀頭が当たったのだろう。その感触に酩酊するようにシルヴァンは腰を振り続けた。

「あんっ、あんっ、もっとっ、もっとっ奥にっ、君の子種をっ、……君の、ちょうだいっ……!!」

 快楽に支配されてしまったのか、アッシュは最早理性の欠片も残ってないようで、膣内はひたすらにシルヴァンから精液を搾り取ろうとするように蠢く。シルヴァンも限界が近くなり、やがて細腰を掴むと精一杯精液を子宮の中へと吐き出した。


 ゆるゆるとシルヴァンがペニスをアッシュの膣内から抜き出そうとすると、アッシュの腕がそれを制する。

「シルヴァン、やだ、抜かないで……もっと、……もっと、君のが……欲しい……。僕を、孕ませて……」

 催淫剤も混じっていたのではないか、とシルヴァンが疑うほどに今日のアッシュは積極的だった。シルヴァンが動こうとすると、逆にアッシュに押し倒されてしまう。アッシュはシルヴァンの上で腰をくねらせながら自ら小ぶりな乳房をこねくりまわしてシルヴァンを刺激してきた。

「シルヴァン、もっと、もっと、ください……」

 ぐいぐいと動く膣内に、シルヴァンのペニスは自ずと大きく膨れあがる。そうでなくても下から見上げている光景はひどく淫蕩で、ぺろりと舌なめずりをしながら乳房をいじくりまわしているアッシュの姿はあまりにもいやらしかった。

「や、おい、やめろって……マジで妊娠させちまう……」
「はい、僕の事……孕ませて、ください……」

 やがてぺたりとアッシュは身体を倒すと、シルヴァンと胸を合わせて乳首だけがこすれるように動かしだした。薄い腹と小ぶりな胸だが、その熱い刺激は目に毒で、シルヴァンは一瞬目をそらしそうになってしまう。それをアッシュは許さず、シルヴァンの顔を捕らえると無理矢理口づけしてきた。深く入り込んでくる舌と奥深く入り込んでいるペニス。上下でつながったまま、二人は律動を開始しはじめた。熱い舌が絡み合い、アッシュは腰を上下に素早く動かしてシルヴァンのペニスを刺激する。そのうちもどかしくなったシルヴァンがアッシュの細腰を掴んで乱暴に突き上げれば、甘い声が上がり汗がはじけ飛んだ。
 がつ、がつ、と腰を打ち付けるように奥へ奥へとペニスを抽出する。

「あんっ、あっ、もっと、あっ、奥、届いてるぅ……!!」

 アッシュは身体を震わせながら甘い声を上げ続ける。それは目にも耳にも甘い毒でしかなかった。シルヴァンも止まれず腰を動かし、射精感を高めてゆく。牝を孕ませる牡として、その時のシルヴァンは獣そのものだったといってもいい。

「そこっ、奥ぅ、いいっ、い、もっと、あんっ、あっ、あーーっ!!」

 アッシュは薄い身体をのけ反らせてふるふると震えながら、子宮に注がれる熱い熱を感じていた。シルヴァンも同時に大量の精液を子宮内へと注ぎ込み、二人は同時に達した。


「はぁ……ふふ、シルヴァン、気持ち、よかったですか?」
「ああ、そりゃもう……て、お前、身体の事は気にならないのか?」
「それは、気にはなりますけど……なんだか、いつもよりずっと気持ちよくて、何も考えられなくなって、それから……君の子供を孕めるんだって思ったら、なんだかどっちでもよくなっちゃいました」
「はぁ?あのなあ……お前、なんだってそんな腹据わってるんだよ」

 事後のけだるさからアッシュの柔らかい身体を抱きしめさすりながら、シルヴァンは呆れたように呟く。

「シルヴァンは、女の子になっちゃった僕のことは嫌いですか?」

 不安そうに、そしてわざとなのか小ぶりな胸を押し付けるようにしてアッシュはシルヴァンを見上げてくる。
 その柔らかさと儚さに、思わずシルヴァンはアッシュを抱きしめていた。

「そんなわけあるか!お前は男だろうが女だろうがお前だ、お前の事を愛していることに変わりはない」

 うっすらと汗をかいた前髪を梳きながらシルヴァンはアッシュの若草色の瞳を真っ直ぐに見つめて告げると、アッシュはふにゃりと幸せそうに微笑む。

「ふふ……よかった……シルヴァンに嫌われたらもう、僕はどうしていいかわからなかったですから……こんな身体になっちゃって、皆の役にも立たないでしょうし」
「んなことねえよ。女になったって、お前はお前だ。お前がお前だっていうだけで役に立てることはたくさんあるだろう。例え戦いだけじゃなくともだ」
「そう、でしょうか?」
「ああ、そうだよ」

 そういうとシルヴァンは言葉の代わりにアッシュの唇に己のそれを重ねた。

「んっ……」

 アッシュもそれに応じるように唇を割り開き、舌を絡め出す。再び二人は深い口づけを交わし、呼気があがってきた。

「アッシュ……その、……」
「いいですよ。もう一回、しましょうか」

 アッシュの視線は微笑みながらシルヴァンの下半身へと注がれている。シルヴァンのペニスは、緩い口づけとアッシュの体温で微妙に反応していたのだ。
 アッシュはシルヴァンのペニスに手をかけると、陰嚢をゆるゆると揉みしだきながら竿をゆっくりと上下に刺激する。裏筋を丁寧に舐めて、くびれの部分は襞まで舌先で丹念に舐めまわした。そうしてから亀頭部分に舌先をいれると、ぐう、とシルヴァンの声が上から降ってくる。

「シルヴァン、大丈夫ですか?」
「大丈夫、じゃねえかも……正直、はやく、お前に挿れたい……」

 その言葉にアッシュは甘い顔でにこやかに笑い、きゅ、とシルヴァンのペニスを握りしめた。

「いひっ!」
「いい子ですね。シルヴァンのおちんちんは僕が欲しいって、言ってくれてます。ほら、もうこんなに元気になってくれました」

 アッシュの言葉通り、シルヴァンのペニスは怒張し、我慢汁をたらたらと流している。

「アッシュ、……アッシュ……」
「はい、いいですよ……シルヴァン、来てください……」

 アッシュはシルヴァンに向けて足を広げると、秘所はひくひくと蠢き愛液で既に濡れそぼっていた。シルヴァンはがっつくようにアッシュを抱きしめるとペニスを秘所に宛がい、そのままぐいぐいと入れてゆく。

「あんっ、急には……っ!」
「ごめん、アッシュ……お前、可愛すぎて……我慢出来ねえ……」

 アッシュの膣内は先ほどと同じように熱く、蠢いてシルヴァンのペニスを包み込む。それだけでもシルヴァンは気をやりそうになってしまうほどで、必死に、がむしゃらに腰をうちつけていた。それほどアッシュの胎内は快楽を凝縮したように熱く、甘く、まるで毒のようにシルヴァンを蝕んで食らうのだ。

「あんっ、あんっ、あっ、あっ、奥に、ぅ……、お、もっと、奥っ!!」

 そしてそれに加えてアッシュの甘ったるい声がシルヴァンの理性を完全に麻痺させる。シルヴァンはただひたすらに牝を犯す獣になり、食らいつくさんとするばかりに腰を動かす。

「あーーー、っ、いいっ、シル、ヴァン、もっと、もっとっ……!!」

 男同士の時のセックスとは比べ物にならないほど、シルヴァンはアッシュに食らいついていた。女の身体というのはこんなにも男にとって旨いのかと、シルヴァンはぼんやりとした頭で考える。男の時のアッシュとのセックスだって決して悪くはなかった――どころか、身体の相性が抜群なのではないかと言うほどに気持ちよかった。今まで抱いてきた女は数えきれなかったが、アッシュの身体は本当に最高だった。
 だが、今はそれ以上の快楽がシルヴァンを支配していて、セックスのこと、アッシュのことしか考えられなくなっていた。ぱちゅん、ぱちゅんと肉のぶつかり合う音が響き渡り、アッシュの細い腰を力強く抱えると、シルヴァンはアッシュの最奥へと、再び凝縮された精液をたっぷりと解き放ったのだった。


 はくはくと息をしながらも薄い胸を上下させてアッシュはシルヴァンに抱かれていた。こんな快楽は初めてだった。男同士の時の快楽も何とも言えないものがあったが、女の身体とはこんなにも快楽を拾うものなのかと驚くばかりだ。どころか、もっと、もっと、と貪欲に求めてしまう。今だってもっとシルヴァンに抱かれたかった。抱きつぶされたかった。そして孕ませて欲しかった。自分がこんなに快楽に貪欲だとはアッシュ自身思っていなかったが、これもコンスタンツェの魔法の所為なのだろうか。それとも生来のものか――元々子供の頃から身売りをしていたアッシュには、わからなかった。子供の頃はこれが快楽なのだとは思ってはおらず、手段の一つだと思っていたからだ。けれどそれはシルヴァンと出逢って変わった。シルヴァンと出逢い、セックスをするようになって快楽と言うものを覚えた気がする。
 それにしても女の快楽というのは途方もないほどに底がない。そう思うとぞっとするのだが、同時にどこまでも味わってみたいと思ってしまう自分がいた。
 シルヴァンの腕枕で肌を合わせながら、シルヴァンのペニスをゆるゆるとしごく仕草は、まだ終わりを告げてはいない――これからたっぷり、女の悦びというやつを教えて貰えるまでは、シルヴァンを離すつもりはアッシュにはなかった。
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