うつくしき淪落

※凌辱ものです。愛は一切ありません


 そう、特に記憶に残っていたというわけではなかった。
 足を引っ張るな、そういうことは言った気がするがそれだけで、そもそもその言葉も気遣いなどという上品な感覚からではないことくらいは、自覚していた。
 脆弱なニンゲンが、今更。ただそれだけだった。

 だが、ちらりと視界の端においてみると、あの見るからにか細い、貧弱なデイン女王は中々面白いニンゲンだった。
 文字通りギリギリ限界であっても、決して膝を折らない。部下の気遣いを受け入れるが、引くわけではない。つまりは、その在り方に強烈な違和感を覚えた。
 何よりもティバーンの気を引いたのは、貧相ながら何故か脳裏に焼きついて離れぬ、不可思議な印象だった。
 ニンゲンの女としては背丈は高い方だ。だが、全体的にか細い印象の身体つきは女という性を感じさせるわけではなく、ティバーンの好みではなかった。そのくせに、肌の白さときめ細かさだけは極上のそれで、端正な顔立ちと小さな唇、そして深い闇を湛える海のような色の瞳は、デイン北海の潮に良く似ていて印象的だ。
 何よりも、このカラダからは妙に牝の匂いがする。それは、まぐわいを求めるラグズのそれによく似ていた。
 特に、かつての臣――もっとも信頼を置いていたという小男を惨殺してから後の彼女は、どこか危うい鋭利さを内に抱いているように見える。その毒と牙を暴いてやりたい。暴いて、蹂躙したい。それは非常に愉悦を伴う想像だった。

 女を抱く行為をことさらに好むわけではないが嫌いでもない。故郷には、その気になれば抱ける女は両手でも数え切れないほどいる。だが、どうもこれは久しぶりに本能的な――戦の衝動を求めるものと同じくらいに耐えがたく、そして心地よい衝動だった。
 相手はニンゲンである。何かの間違いで子を成し、その子が親無しなどであれば、フェニキスは未曾有の混乱と危機に陥る。
 デインという国は、ニンゲンの国の中でも殊更にラグズを「半獣」と疎い、嫌悪する。この若き女王にしても、一部のラグズ勢以外には心を許してはいまい。時折ティバーンに向けられる不審げな眼差しは、彼女自身の嫌悪感からくるものなのだろう。

 その、半獣を忌み嫌う女に子種を植えつける。

 そこまでを夢想し、残忍な衝動にティバーンは口角を曲げた。

「成るほど、それも一興だ」

 一人愉しげに鼻を鳴らし、ティバーンは肌を刺すような凍りつく空気に、身をさらした。
 唐突に言葉もなく侵入してきた鷹王に、ペレアスは表情を強張らせてみせた。仮にもこの隊を率いるフェニキスの王に対し、まるで侵入者を見咎める目つきだった。
 近頃彼女は殆ど一人でいることを、ティバーンは知っていた。母親や騎士をすら近づけさせず、他者を寄せ付けぬ空気を自らまとう。それでも、隊の中にいればそう目立つ方ではないからなのか、ことさらな混乱を引き起こす存在でもなかった。それは、彼女なりの身の守り方なのだろう。
 なにやら濃密な気配がその天幕内には漂っている。良く見ればペレアスの髪が乱れ、唇がやけに熟れたように見えた。
 ティバーンは薄暗い天幕に入り込むなり、不躾に鼻をひくつかせる。案の定、羽の付け根を刺激する下半身の淀みが滾る匂いが、この空間には在った。  なるほど。そういうことか。獣のような笑みを浮かべながら、ティバーンはペレアスに近づいた。
敵襲があったわけでもない、だのにこのように夜半過ぎ、それも男が女を訪ねることの意味。そして巨大な体躯を持つ半獣の男の眼差し。この状況で想定できる事態は、ひとつだけだ。とっさにペレアスは後ずさってみせた。だが、疲労がたまっている上に強張った身体が巧く動かないのか、脚がもつれ、その隙をつきティバーンの手がすばやく細肩を掴んだ。
 声にならない声がペレアスの口から漏れ、苦痛に眉根を寄せる。
 ティバーンは強引に痩身を抱き寄せる。
 ニンゲンの女の抵抗など、ラグズ王にはあってないようなものだ。
 痩身はあっさりと鷹の王の強靭な肉体に納まってしまう。ふわりと漂う甘い香りと、仄かな牝の臭い。
 改めてみれば、わずかに見えるその首筋や胸元に鬱血した箇所がいくつもある。

「お前みたいな貧相な女は、本来好みじゃあない」
「それなら、どうして」

 か細く小さな声がすぐさま返る。抑揚がなく、感情の欠片も見当たらない。
 けれどもよくよく見れば、ペレアスの、ティバーンを見据える双眸は一見怯えにまみれているようで、真実そこにあるのは侮蔑と憎悪だ。どこまでも深い色の光は冷たく凍りつき、その表面はひどく平坦に見える。
 まったくもって、ニンゲンらしいまなざしだ。
 ぞくぞくと腹の中をうねるような鈍く重たい快楽が、ティバーンの中に芽生え、膨張する熱を静かに、加速させてゆく。
 下腹部でもまた欲望が脈動し、両翼の生え際が、じくじくと耐え切れぬ疼きを帯びる。
 ティバーンは痩身を抱く腕に一瞬力を込めるやいなや、小さな唇に食らいついた。
 悲鳴をあげる暇なく、ペレアスは当惑と拒絶に端正な顔を歪める。
 ティバーンは貪るように唇を食み、舌先で歯列の表面をなぞった。口内を強引に犯されるそのおぞましさにペレアスは精一杯の抵抗をするが、所詮ニンゲンの脆弱なチカラごとき、空の王者のそれに敵うわけがない。
 押さえつけた腕の中で動く肢体は、決して豊満とはいいがたい。だがそれでも、ティバーンの腕に時折触れる淡い膨らみや、押さえつけている腰の細さなどは、確かに女のものだ。
 そして、僅かに開いた胸元や、他の女魔道使いに比べれば露出は低いものの、わずかに露になっている太ももから伺える真っ白できめ細かい肌は、セリノスの美姫を長く寵愛するティバーンにすら、触れてみたいという抗いがたい男の衝動を誘う。
 ティバーンは暴れるペレアスを押さえつけながら、胸元を覆う衣服を強引に引きずりおろした。
 夜陰に露になる、白く透明な素肌と申し訳程度に膨らんでいる乳房。
 初々しさ、幼ささえ感じるその小さな乳房には、だが無数の傷跡が残っていた。そして、晒されたことですぐさま反応を示す、痛々しいほどに目立つ桜色の乳首は、その乳房には不釣合いなほどに大きく見えた。
 はっと息を飲み、とっさに胸元を隠そうと動く腕を捕らえ、貪っていた唇を離す。一方的な蹂躙じみた口付けだったが、唇が離れるに従い、その距離をつなぐように透明な唾液が伝い、そしてペレアスのむき出しの乳房にぽたりと落ちた。

「フン、やはり貧相だな…」

 ティバーンは鼻を鳴らし、片手でその淡い乳房を乱暴に掴んだ。痛みにペレアスは唇を噛み、上目遣いにフェニキスの王をにらむ。まったくもって敵を見る目、その憎悪の冷たさがが心地良くティバーンに響く。心が、沸き立ち、歓喜に震える。

「だが残念だな。そういう風に俺を見る女は、好みだ」

 乱暴にその場に押し倒し、首筋に噛み付いた。

「くぅ……」

 柔肌に、赤く歯型が印された。続けて同じ箇所に強く吸い付いた後、鎖骨のくぼみをねっとりと舌先でなめてゆく。子供がそれを己が自由に出来るのだと名を書く程度の意味しか、それは持っていない。
 何度か繰り返し吸って、白い肌に無残な痕を残すと、今度は小さく震えている薄い乳房にむしゃぶりついた。仰向けになってしまえばそれはほとんど肉付きもなく形も成してはいなかったが、辛うじて形のわかる乳房の頂は外気に晒された為か、哀れなほどにつんと立ち上がっている。
 押し倒しても執拗に暴れるので、自ずとティバーンはペレアスの痩身にそのまま覆いかぶさるような姿勢になっていた。膝のあたりにどっしりと腰を下ろすと、まずはその細腕をつかみ、頭上に動かし、左手で二つの手首を地面に押さえつけた。

「いい格好じゃあないか、デイン女王」

 ペレアスは答えず、唇が色を失うほどにかみ締めながら、じっと憎しみのまなざしをティバーンに向けてきた。
 薄い乳房が上下し、あばらの骨がくっきりと陰影を作っている。時折ゆらめく魔道の光のもと暗がりに浮かび上がる白い裸身は、その貧相さとは裏腹にひどく蠱惑的に見えた。
 そして何よりも、その乳房に残る陵辱の痕がティバーンの下半身の熱を膨張させていた。デインにはベグニオン元老院に逆らえぬ理由があり、それをタテに夜な夜なあの老人共に陵辱の限りを尽くされたに違いない。少女のように淡い乳房には無数の傷があり、乳首は熟した果実のように張り詰めている。このような陵辱行為に安易に屈することがない静かなまなざしも、その証拠に違いなかった。
 音を立ててつばを飲み込むと、獰猛な獣の笑みで、ティバーンは右手を薄い乳房に這わせた。
 するとペレアスは唇を噛み、ふいと横を向き目を閉じた。その程度、耐えてみせる。そういう女の態度にティバーンの羽が疼く。幾多の傷跡を刻みながらも、麗しい張りを失ってはいない肌に手を這わせ、左乳房を指先ですくうように動かした。小さく息を呑む音がして、痩身が強張りあばら骨がいっそう浮き出る。

「まったく、貧相なくせに淫乱なニンゲンめ。お前の肌は、こんなにも熱いじゃないか」
「…ふっ…ぁ」

 ぐい、とそのまま乳房の蕾を押しつぶすように指を食い込ませると、痩身はわかりやすいほどに跳ねた。外気にさらされただけで充血した性感帯を刺激され、声を出さぬよう唇をかみ締めるだけで精一杯なのだろう。もれてくる吐息は荒い。

「こんな身体でも、反応だけは立派だな」

 そして、その淡い乳房を、五指でいっせいにつよく握った。

「いっ、……ぁあああああ!」

 ぐっと白い喉をそらし、押さえつけた身体がビクリと跳ねた。ティバーンはそのまま僅かな乳房を掴むように無秩序に揉みしだき、時折乳首を爪の先で嬲る。

「や、やめ、……ふぅっ」

 その度に、ペレアスは端正な顔を歪め細く切なげな声を吐息と共に漏らす。
 この反応は、なかなかに愉快だった。だがティバーンの目的はそこにはない。そう思い返し、ティバーンは唐突に乳房から手を離すと、長い法衣を支えている細腰のベルトを乱暴に外し、そのまま一気に下半身を覆う衣服を取り去った。
 布が引き裂かれる音に、そして露にされる下肢に、ペレアスが、息を呑み瞳が動く。一瞬の隙に腰を動かし、健気に抵抗してみせるものの、その努力はむなしく終わった。
 そもそも脚はのしかかられているために自由がきかない。上半身も同様である。そして窒息しそうなその重さと圧迫される喉元に、マトモに声すらもあげられないのだ。
 殆ど肌を露出させたその姿は、なかなかに良い眺めだった。
 腰は見事にくびれ、ティバーンが力をこめればあっさりと折れそうだ。無駄な贅肉が殆どなく、健康的だとはとてもではないが言い難い、それが逆に背徳的な雰囲気を帯びさせるのか。その素肌の、ありとあらゆる場所には狼藉の痕が残る。これでは、この女を将来抱く男はその都度心を苛むな。そういう想像も愉快だった。胸元や内股、脚の付け根付近に集中する傷跡の凄惨さが、逆に嗜虐欲をそそる。傷がなければ、たいそう美しかったであろう極上の白い肌が羞恥と憎悪に染まり、千切れた布から垣間見えているすらりとのびた脚は素直に美しいと思えた。

「さわぐなよ、お前の部下や母親に、気づかれたくなきゃあな……?」

 その言葉に、ようやくペレアスの双眸に絶望の色が奔った。その絶望を垣間見た瞬間、ティバーンの脳髄から足元まで、先ほどよりもより明確な快感が一気に貫く。どくりと脈打つ欲望が、こらえきれぬとばかりに怒張している。
 目的を完遂するため、ティバーンの手はペレアスの脚へと伸びた。

「ひぁッ?!」

 ティバーンの太い指が秘所に触れた瞬間、くち…と音がするほど、ペレアスの秘所は既に熟れ、濡れていた。触れた瞬間に細い脚が動き、身体がビクリと反応する。

「おぞましい、そう思う半獣に犯されて濡れたか!」

 歓喜の声を上げる男に、ペレアスは唇を結び瞼を閉じる。長い睫が、屈辱に震えているように見えた。

「…くっ、…くくく…まったく…たまらないな、こんな淫乱女が、ニンゲンの国では王になれるとは!」
「こ…くっ、…ぁ!」

 ティバーンの物言いに何かを言いたげにペレアスは叫ぶも、執拗に秘裂を嬲られ、力が入らず声も上ずる。
 そのまま、時折中へ入れ込むような動きをすると、細い脚はもがくように動き、白い裸身は踊るように動いた。小さな乳房も、薄い肉をけなげに揺らし、桜色の乳首はティバーンの唾液でねっとりと淫靡な光を反射していた。
 何よりも、濃密な臭いがティバーンの嗅覚を先ほどから刺激し続けている。
 ベオクラグズを問わぬ、濃厚な女の臭いだ。この臭いに興味を持ち、性的な衝動を覚えたのは久しぶりである。また、羽の付け根が疼く。今度はたまらず、ティバーンは上半身を覆う衣服を自ら脱ぎ捨てた。そして、巨大な翼をばさりと広げる。天幕はそう広くはないが、化身さえしなければ両翼を広げるほどの広さはあった。
 そうして熱の一部を解放しながらも、女の急所を執拗に攻め続ける手は緩めなかった。
 トロトロと熱い汁を淫らに垂らす淫肉を指腹でなぶり、爪先を立てる。熱く熟れた肉芯は、かすめただけで細い肢体が動き、こらえきれずに声が漏れた。

「呆れるな、まったく」

 ぐい、と顔を一瞬近づけ、必死に目をそらすペレアスの頬をべろりと舐める。一瞬だが、瞼が瞬いた。紅潮しながらも頑なな表情を崩さぬ横顔に息を吹きかけ、ティバーンは顔を離す。
 そして唐突に、太い指を一気に二本、強引につっこんだ。

「ぁあああああああああああぁ!」

 悲鳴が迸る。熟れた膣内は、最初こそ異物を拒んでいたが、思ったほどそこは窮屈ではなかった。どころか、触れた瞬間に陰裂は火照り、男の指を捕らえんとするように、動く。くちゅ、と音を立てて淫らな汁があふれ、ティバーンの指にまとわりついた。

「淫乱な女め、自分で慰めたか……いや、あの、母親か?」
「んぁ、ぁああ、ひぁ…あ!」

 ティバーンの言葉と凌辱的な行為に、ペレアスも全身でもって抵抗してきた。重い身体をのけようと必死に脚を動かし、髪を振り乱し、肘から先唯一自由の利く腕と手でもってなんとかこの暴虐の主に一矢報いんとするのだが、それを嘲笑うようにティバーンは秘肉を掻き分けては親指と薬指では淫唇を嬲り、入り口をこじ開ける。  その様に意地の悪い笑みを浮かべ、小刻みに震えている乳首をぺろりと舐めた。そしてそのまま、乳輪をなぞるように舌を這わせ、ぴちゃぴちゃとわざとらしく水音を立てた。

「は、……は……ぁ…ぁ…ぁ…い、あ…」

 先ほどまでとは違い、その声は徐々に色を帯びていた。見開かれた濃紺の瞳はゆらぐように虚空を見つめている。そして時折痙攣するように動く身体と、異物をとらえんと蠢く肉のうねり。浅ましいまでの欲が、この女の中には確かにある。

「くく、感じているな?お前………クク、……もしやあの老いた騎士あたりが情夫か?いや、暁の巫女か?」

 その言葉に、ペレアスは苦痛と快楽のまじるあえぎを時折もらすのみで、明確な反応を示しはしなかった。だが、ティバーンの指をくわえ込んだ媚肉が、わずかに締まる。

「なるほど……まぁ、お前の事情なんざ、どうでもいいことだがな」

 特にそうだという根拠を持っていたわけではないが、ティバーンの太い指に絡み付いてくる肉のうねりと、熱さ、そして先ほどの反応が何よりの証拠だった。陵辱の屈辱も、男に愛される悦びも、この身体は知っている。

「……あな、た……は……うくッ」

 それでも、必死に声を押し殺しながら、なんとも健気に表情を取り繕うとする、無駄な努力がどこかで愛しかった。無論それは、生易しい感情などではない。  ティバーンは手首を硬く拘束していた手を離し、汗と唾液に塗れた乳房に移動させる。おもむろにその薄い乳房を掴み、その大きさの割には目立つ乳首を力任せに抓った。同時に、ひくつく肉芯をつま先で嬲る。

「いっ、やっ……ぁはぁっ!」

 同時に性感帯を責められ、ペレアスは白い喉をのけぞらせて細く悲鳴を上げた。膣内に侵入した指も動きは止まらず、どころかティバーンは三本目の指を中へと挿入する。

「ぐっ…ぁく…、私と…交わる、意味、を、本当に、理解…して、ぁああああああぁ!」

 ねじ込んだ指を、二本同時に膣内でぐい、と立てた。広くはない、が窮屈というほどでもないペレアスの中は、ティバーンの指を銜え込み離そうとはしない。肉襞を引っかくように指先を動かすと、くちゅりと濡れた音が漏れ、そして一気に熱い蜜があふれてきた。同時にあふれる、濃密なオンナの臭いに、ティバーンの羽の付け根がいっせいにざわつく。

「禁忌、をッ、…ふ…、侵す…こ、とを…ぁあ!」

 なおもぐちゅぐちゅと乱暴に膣内を太い指でかき回し、乳房を嬲りながらティバーンは笑った。

「成るほど女神は試練を与えたもう。クク、面白いじゃないか」

 そして、真っ赤に染まる目元に口を近づけ、まるで恋人にそうするかのように、そっと囁く。

「こう見えて、ニンゲンのオンナは初めてだ」

 乳房を嬲っていた手をずらし、抱き寄せる。そして強引にこちらを向かせた、至近距離にある目は、屈辱と快楽の波にゆらめきながらも、まだ最後の理性をしっかりと保っていた。

「ぁあ……ぁ………はぁっ」

 そんな努力を嘲笑うように、ペレアスの中に埋め込んだ指の動きを、そのままの姿勢で加速させながら、ふるえる乳房を、わざと音を立て舌先で舐めとった。
 この肌の色と表情は、男の欲を刺激する。乳房は貧弱で傷だらけだが、素肌の触り心地もニンゲン風情にしては上等に思えた。反応も、悪くはない。
 何よりも、この指に絡み纏わりつく胎内の圧迫感だ。淫乱な蜜を滴らせながら、決して男を離そうとはしない。
 衝動にまかせて尻の肉を覆う衣服ごと掴み、寄せる。貧相な身体つきの、小ぶりな尻の肉をまさぐるように手を動かし、割れ目をそうっとなでた。

「く、ふぁっァア!」

 左と右、両手の指の動きを加速させた。うねり纏わりついてくる肉壁と、その度にぐちゅぐちゅと響く音と、熱っぽく溢れてくる蜜がティバーンの巨大な手を濡らす。一方は尻肉をやわやわと、それはいとしげに愛撫する。屈辱と、快楽、その双方を同時に与えられ、ペレアスは瞳をゆらめかせた。その瞬間、唐突にティバーンはペレアスの膣内から指を抜き去る。
 屈辱的な快楽の最中、唐突に放り出されたペレアスは、反射的にティバーンを見た。責めるような、わずかだが快楽を強請るような色を見せる目が、たまらない。ティバーンはいよいよ自らも下半身を露にした。
 湯気が立つほどに赤黒く脈打つ太い男根を、胡乱な目でペレアスは眺めていた。だがそこには、まだ、理性の光がある。
 脆弱に見えながら、意外に己を保ち続ける。この女ははかなげな印象とは裏腹に、芯の部分は頑強だった。それは、絶望を知る者の強さだ。そしてこの女を象っているものは、ただひとつ祖国に対する執着ともいえる強烈な思念と矜持である。
 いよいよこの女を犯してみたいという衝動が強く奔った。この女の膣内に思い切りぶち込んで、子宮ごと無茶苦茶にかき回し、受け止めきれぬほどの精を放ちたい。女であることを後悔させるほどに犯し続け、心と身体の隅々までをあらゆる手段でもって穢すのだ。
 それは、戦いの衝動と同等に甘美で心躍る想像だった。
 だがそれは、最後だ。この女に絶望をとことん知らしめてからだ。
 己と怒張する己自身にそう言い聞かせると、ティバーンは一度深呼吸をした。