幼馴染は、何時だって突然だ。今日も突然私の方を見て、一輪の白い花を差し出して「今日は君の誕生日だ。誕生日、おめでとう」だなんていう。
私の誕生日は、君と一緒で、教皇が決めてくれた日があるだろう、そう言い返すと、困ったように笑って「僕も君の誕生日を決めたい。お返しに、君が僕の誕生日を決めてくれ。できれば、同じ日がいいけど」だなんて少しの我儘も付け加えて図々しくリクエストしてくる。
そして、決まってニッコリ笑うのだ。君のその笑顔に、私が敵わないことを知っていて。
小さく溜息をついて、幼馴染から白い一輪の花を受け取る。
「マーガレット?君、……まあ、ロイが花言葉なんて洒落たことを知っているわけがないか」
小さな溜息と共に呟いた言葉に「うん?」と覗き込んでくる君に、はあ、と大仰に溜息を返して見せると、君は困ったように笑う。
「男性に贈るには、相応しくはなかったかもしれないけれど。僕から君に贈るには、相応しいだろう?」
そんなことを満面の笑みで言う君の瞳に映る私の表情は、君しか知らなくていい。それくらい、人には見せられない顔をしていたことを、自覚くらいはしている。
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