僕は、テメノスさんが好きだ。一目惚れだった、といえば多分そうだと思う。だって、あんなに綺麗な人をみたことはなかったから。
会って直後にその言動が原因で印象が急降下したことは覚えているけれど、それでも、それでも惚れた欲目もあってか印象は決して悪くはなかった。
そして、強かで優しい人なのだ、ということは一緒に旅をするようになって少しずつ分かっていった。
そんな淡い憧れが、恋を経て欲へと変貌するのに若い僕はそう時間はかからなかった。この綺麗な人を穢したい、僕のものにしたい、そう思うようになるまで、どれくらい経っただろうか。
ある日、今日は野営をしようということになり、テメノスさんは先に汚れを落としたいから近くの湖へ行くと言って姿を消した。
僕はこれをチャンスだ、と思った。あさましいかもしれないけれど、ようやくものにできる、テメノスさんを僕のものにできるという、単純な、男の発想。知られたら幻滅されるかも、などという可愛らしい発想は、どこにもなかった。胸がどきどきとして、ついでに下半身にも熱が少しずつ溜まっていって、その姿を見てもいないのに暴発しそうだった。だって僕は何時だって、眠る前はテメノスさんを穢す夢想をして自分を慰めていたのだから。
出来るだけ音を立てないように湖に近づくと、そこには湖の中、月下の女神のように美しいテメノスさんがいた。白磁の肌を水で洗い流しながら、美しい銀髪が月光の光を浴びて淡い色を照らし出している。ほう、と思わず欲の事も忘れて僕は魅入っていた。
その時、カサリ、と音がする。すわ、魔物か、と僕は剣を構えようと立ち上がり更に大きな音を立ててしまった。
「誰かいるのですか?!」
しまった。気づかれた。テメノスさんは胸元を手で覆いながらこちらを振り向いている。僕は中腰で、その場に立ち尽くしていた。
「クリック……くん……?」
テメノスさんの、絶望的な顔。どうしてそんな表情をするのだろう――たかだか裸を見られただけなのに。赤面したり、慌てたり、というのならばわかる。けれど、月光の下でもはっきりとテメノスさんが絶望して真っ青になっているのは目に見えた。
「テ、テメノスさん……あ、あ、あ、あのっ……その、……っ」
だから僕は慌ててしまって、その場に無様に尻もちをついてしまった。
「見たの?」
鋭い、けれどどこか震えている声。
「へ?」
「私の、裸を、見たの、と聞いてます」
テメノスさんの声ははっきりと怯えていた。それにしても、何故胸を手で隠しているのだろう。テメノスさんは男性の筈だから、隠す必要なんてないのに。絶望している表情と、関係しているのだろうか。混乱して、うまく頭が回らない。
「は、はい……その……すみません、みて、しま、……」
「今すぐ離れて!」
「は、はい?!」
「ここから、今すぐ離れなさい!」
本気で怒っている声だった。けれど、僕だって男だ。夜な夜なテメノスさんの痴態を想像して慰めていた僕が、ここで引き下がるわけが、引き下がれるわけがない。せっかく訪れたチャンスなのだから。
「嫌です、といったら」
僕は何もかもが気になって仕方がなくて、鎧を脱ぎ捨て、インナーだけになってテメノスさんに近づいた。するとテメノスさんは目を丸く見開いて後ずさりしながら口をぱくぱくとしている。何かをいいたいのに、言えない、そんな感じだ。
「僕は、テメノスさんが好きです。そういう目で、見ています。さっきもテメノスさんを見て、綺麗だと思いました。手にいれたいと、触れたいと、思いました」
まっすぐに見つめて言えば、テメノスさんは唇を噛んで俯き、何やら決意したように顔をあげる。
「そう……本当に……これでも、君は、私に触れたいと、そう、思うの?」
言うが早いかテメノスさんは胸元を隠していた手をどけた。そこには――ほんのりと淡くはあるが、乳房があった。
本来ならば、女性にしかない筈の物。当然下半身には男の象徴もついている。どういうことか、僕が混乱していると、テメノスさんは自嘲気味に笑って呟いた。
「半陰陽。聞いたことが、ないですか?私はそれで捨てられた孤児なんです。気味が悪いと言ってね。男性の性器と、女性の性器をどちらも持っているから、両親もさぞかし驚いたことでしょう。それでも教会に捨ててくれたのは、なけなしの情けだったのかもね」
哀しそうにそういうテメノスさんを、とっさに僕は気が付いたら抱きしめていた。冷たい身体だ。僕が、温めてあげなければ、そう、強く思った。
「クリックくん?気持ち悪くは、ないの?」
テメノスさんの声が震えている。泣いているのかもしれない。
「気持ち悪いわけないじゃないですか。大好きなテメノスさんの事を、そんなことで気持ち悪いだなんて、思うわけが、ありません。いいですか、僕は、毎晩テメノスさんで抜いてたくらい、好きなんですよ、貴方のことが」
「毎晩……?」
僕の腕の中でテメノスさんが動いて、僕の顔を上目遣いで見上げてくる。翡翠の目は水の膜で覆われていて、長い睫毛が震えていた。
そんな顔をしないで欲しい。今すぐ襲いたくなってしまう。そうでなくても、胸に柔らかい乳房が押し付けられていて、気が気ではないのに。
「そうです、毎晩、です。テメノスさん、好きです、……愛してます」
そう言って僕はテメノスさんの薄い唇にキスをした。テメノスさんは初めは驚いたように口を閉ざしていたけれど、ゆっくりと唇を開いてくれた。だから僕はそのまま舌を侵入させてお互いに絡め合い、唾液を交換するようにぴちゃぴちゃと音を立てて熱を吸った。けれど、いくら何でも湖の中でいつまでも突っ立っていては風邪をひいてしまう。だから、僕はテメノスさんを横抱きにすると湖からあがって、草むらへとゆっくりと押し倒した。
「クリック、くん、……本気、なの?」
「本気ですよ。見て、わかりませんか?」
そして淡く膨らんでいる乳房に手を伸ばして揉みしだくと、テメノスさんから甘い声が上がった。
「あ、ん……っ!」
「柔らかい……本当に、おっぱいがついてるんですね、……ふふ、なんだか得したみたいです」
ふにふにと柔肉を揉んでいると満たされてくる。テメノスさんの肌は思っていた以上にさらさらで、綺麗で、本当に女神の様だった。
「そんな馬鹿なことを言うのは君くらいですよ。普通は気持ち悪いと思うものです」
「こんなに綺麗なのに?」
言いながらツンと立った乳首を刺激すると、テメノスさんの身体がビクリと震えた。
「そこっ、……だ、め……!」
「ふうん、テメノスさん、乳首弱いんですね」
調子に乗った僕は、テメノスさんの乳首を指でこりこりとこねくり回したり、先端部分をぐい、と押してみたりすると、もっと甘い声がテメノスさんから漏れてきた。これをいいことに、僕はテメノスさんの乳首を口に含んで舌先で転がし、唇で柔らかく食んでやると、「あぁんっ!やめっ」とテメノスさんの嬌声が聞こえてきて気が良くなってきた。僕の下半身も元気が良くなってきて、パンパンになり、今にもはちきれそうだ。これはもう、我慢できない。
「テメノスさん、ごめんなさいっ!」
言うなり僕はズボンと下着をさっさとその辺に脱ぎ捨てて、テメノスさんの小さなおっぱいの間でこすり出した。テメノスさんの素肌はさらさらとしていて、綺麗で、その間を僕の赤黒く勃起したペニスが往復していると思うと興奮して堪らなかった。
「や、あん!おっぱいで、やめて……!」
「だって、気持ちいいんですよ……テメノスさんの可愛いおっぱい……!」
ふにふにと形を変えるおっぱいに僕のペニスをおしつけるとなんだかとてもいやらしいことをしている気がして、堪らない。桜色の可愛らし乳首にペニスの先端を押し付けてぐいぐいと刺激すると、テメノスさんから甘い声が何度も上がった。
「ちくびっ、ちくびはやめて………わたし、ちくびは……!」
「弱いんですね?見ててわかります、すごく、可愛いですよ、テメノスさん……」
いやいやをする子供の様に首を横に振るテメノスさんがあまりにも愛らしくて、思わずその唇にキスをしてしまう。それでもテメノスさんは収まらないのか、涙をためて僕を見上げてきた。
「クリックくん、本当に、するの……?」
「何を言ってるんですか、今更」
「でも、私は……」
「テメノスさんの身体は、綺麗です。本当に」
言って僕はテメノスさんの愛らしいペニスを後ろ手に掴み、やわやわと刺激する。
「ひゃっ、両方刺激は、だ、め……!」
テメノスさんのペニスの下に睾丸はなく、女性器があった、だからペニスを刺激することで、多分そこも濡れてくるだろう。そうすれば、僕のペニスをテメノスさんのナカに入れることが出来る。そう思うとまた暴発しそうになり、僕のペニスは大きさを増した。
「や、あ、……クリックくんの、おちんちん、大きくて、……こわ、い……」
怯えるテメノスさんも、最高に可愛かった。ああ、もう、食べてしまいたいくらいに可愛い。この手で閉じ込めて誰にも見れないようにしてしまいたい。
「怖くありませんよ、テメノスさんが可愛くて、興奮してるだけです」
テメノスさんのペニスから手を放して、再び愛らしい乳首を刺激しながら乳房を寄せるようにして僕自身のペニスを往復させる。いよいよ射精感が高まってきて、僕はそのままテメノスさんのおっぱいと顔に思いっきり精液を吐き出してしまった。
「はっ、はっ、……あぁ……テメノスさん、ごめんなさい、穢してしまいましたね……でも」
「……でも、何?」
精液をかけられたショックで呆然となっているテメノスさんは、とてつもなくえっちだった。上気して赤くなっている頬も、薄い唇にも、ささやかなおっぱいにも、僕の欲望がかかっている、その光景はあまりにも背徳的で、僕のペニスは再び元気を取り戻してきた。
「これからもっと、穢しちゃいますから……」
「や、クリックくんの、おちんちん、また……」
呆然としているテメノスさんの顔や胸にかかった精液を拭ってあげている間にも、僕のペニスは質量を増してゆく。テメノスさんに触れている、ただそれだけで僕は興奮してしまっていた。
「今度はこっちで……」
言いながら、ペニスに隠れた蜜壺に触れると、そこはもうしとどに濡れていてくちゅりと僕の指先を食べてしまった。熱くてたまらない。早く、挿れてしまいたい。
「はぁんっ!そんなところ……触らないで……」
「触らないでって、これから、もっとすごいことするんですよ、テメノスさん」
委縮してしまうテメノスさんを落ち着けようと、唇に、頬に、おでこにキスを優しく落としながら、秘所に指を押し入れ進めてゆく。
「や、あぁん……わかって、る、けど……指っ、だ、め……あっ!」
僕が指を二本、三本、とどんどんと増やしていってもテメノスさんの蜜壺は歓迎してくれて、柔らかで熱い肉壁が絡まり着いてくる。これなら、僕のペニスを入れても大丈夫だろう。
「テメノスさん、入れますね」
「……え」
「僕の、おちんちん。テメノスさんの、大事なところに、いれちゃいます」
「やっ、ま、まって……わたし、わたし……そんなことされたら……」
言いながら泣きそうになるテメノスさんの表情に、加虐心が否応なく刺激されて僕はペニスの先端を宛がい、一気に貫いた。
「ああ――――やぁんっ、急にっ、いたっ!」
破瓜の血と共に愛液がたっぷりとそこから漏れて、僕のペニスを刺激する。柔らかで熱い肉壁は、僕のペニスを貪欲に貪るように動いて、奥へ奥へと誘うように動いていた。
「う、あ、やだっ、私っ、おんなのこにされちゃうっ……!」
「そうです。テメノスさん、おんなのこになっちゃうんですよ。ナカで感じて、こんなにいやらしい顔をして、涙を流して、おっぱいも僕の精液で汚れて、すっかりおんなのこじゃないですか」
「や、やぁ……!わたし、ほんとうに、おんなのこになっちゃうっ!!」
ぱん!ぱん!と肉のぶつかる音と共にテメノスさんの鳴き声が響き渡る。僕はもう止まれなかった。僕の動きに合わせてテメノスさんの可愛らしいペニスと薄い乳房が揺れる様といったら何とも言いようがない程にいやらしくて、僕は興奮してテメノスさんの細い腰をがっしりと掴んで、その細い身体が吹き飛ばされないようにするだけで精一杯だった。
「やあぁっ、あ、あ、あっ、あんっ、あんっ、くりっく、くんっ、もうっ、わたしっ、おかしくなるっ、あっ、あんっ!」
「いいんですよっ、おかしく、なってっ、くださいっ、てめのすさんは、ぼくのっ、ものだって、……これでもうっ、てめのすさんは、ぼくのっ、ものですっ!」
お互いにもう何を言っているかもわからなかった。ただ、僕は抽出を繰り返して、自分のペニスでテメノスさんを貫いて、奥へ奥へと動いて、精液を吐き出したいという欲だけで動いていた。
やがて、射精感の高まりを感じて、ぐぐ、と力を込めながら、僕はテメノスさんの最奥に、精液をたっぷりと吐き出したのだった。
「せっかく水浴びしたのに、また水浴びしなきゃならなくなりましたね……」
「……クリックくん、……その、……ありがとう」
「……テメノスさん?」
「私は、こんな身体でしょう?胸が膨らんできたとき、怖くて、……思わずロイに相談して、でもロイはああいう性格だから大丈夫だ、だなんて笑って……きっと君の身体ごと君を愛してくれる人が必ず現れる、だなんていって……。でも、私、信じてなかったんです。だって、両親にも捨てられた私が、ですよ?それなのに、君ときたら……」
そっとテメノスさんが僕によりそい、きゅっと抱きしめてくる。あ、ちょっと、まずいかも。テメノスさんのおっぱいが丁度僕の腹筋らへんにあたっている。乳首が立っているのもわかって、僕のペニスが反応しかけている。
「テメノスさん……それは……」
「でも、ロイのいっていたことは本当だったんですね。だって、君が、現れてくれたんですもん。君は、私の裸を見ても、気味が悪いだなんていわなかった。嬉しかったんです。ほんとうに、嬉しかった……」
あ、えっと、それは僕も嬉しいんですが、僕の身体の方が反応するからそれ以上くっつかれると、僕が反応しているのがわかっちゃって……。
「クリックくん?もしかして、まだ、私を抱きたいの?君のおちんちんが、反応してるんだけど」
「あ、やっぱりわかりました?」
「それくらい、わかりますよ。もう……でも、いいですよ。また、抱いてください。もう、君に女の子にされちゃいましたけどね」
そう言って笑うテメノスさんは何か吹っ切れたようで、とても綺麗に見えた。ああ、本当にテメノスさんは綺麗な人だ。そしてその人は、もう、僕のものなんだ。そう思うととても幸せで、僕はテメノスさんをきつく抱きしめて、キスをした。
「ねえ、クリックくん、今度はちゃんとしたところで、きちんと抱いて?ね?」
妖艶に笑うテメノスさんは、それはそれは綺麗で、僕は目が離せなかった。
ニューデルスタは慌ただしい街だ。煌びやかな分、そうなのかもしれない。テメノスさんは、お仲間のソローネさんと何やらひそひそと話してから「ホテルで待っていて」と言い残して去っていった。
これは、期待してもいいのだろうか。元々ソローネさんも色っぽい女性だし、もしかしたら……という期待から僕の下半身がずん、と重くなる。いけない、いけない、まだ真昼間で街中だ。
「クリックのあんちゃん、どうしたんだ?腹でも減ったのか?わたしは減ったから、どこかで干し肉売ってないかなー」
「オーシュット、そうだなあ、ここには干し肉はないかもしれないけれど、美味しい肉を食べさせてくれる店はあるかもしれないな」
「美味しい肉!行こう、行こう!おふくろも、早く早く!!」
「まあオーシュット、そうせかさなくても……クリック、あなたはテメノスについていかなくて本当によかったの?」
「というか、テメノスさんがついてくるなというので……正直、時間を持て余してしまってるんですよね。仕事で来たわけではないですし。オルトがお前は働きすぎだから少し休暇をとれ、って言ってくれて、それで皆さんと同行しているだけですし」
「そうなのね。それなら私たちは一緒にご飯にしましょうか。オーシュットのリクエスト通り、お肉の美味しいお店を探しましょう」
たおやかに笑うキャスティさんも綺麗な人だとは思う。けれどもやっぱり僕にはテメノスさんしかいない。テメノスさんしか、といえば、ソローネさんと連れ立って行ったけど、秘密のことはどう誤魔化すんだろうか。もし下着なんか選んでいたら……でも、ソローネさんとは何だか不思議とウマが合っていたから大丈夫かもしれないな、と何となく僕は安心していた。ソローネさんはどこか人を寄せ付けない所のある美人だ。鋭いナイフのような印象がある。けれどもテメノスさんといるときはどこか安心している風があった。それが少しだけ妬けたけれど、でもテメノスさんに触れているのは僕だけだという優越感もある。だから、二人きりにしてもいいだろう、と思えたのだ。
「そうですね。オーシュット、何かいい匂いがする場所はあるかい?」
「ん?んん~~?あ!こっち!こっちからいい匂いがするぞ!」
言うなり走り出したオーシュットの脚力ときたらとんでもなくて、普段鍛えている僕でも追いつくのが精いっぱいだった、キャスティさんは大丈夫かと振り返ると……意外な脚力で僕と並走している。そうだ、キャスティさんもその見た目とは裏腹に斧を振り回す膂力を持っているのだった。心配した僕が馬鹿だった。
「えっへっへ~~、肉だ肉~~!」
満面の笑みで待っているオーシュットが居た店は、確かに肉料理専門店と看板に書かれており、中からはそれは香ばしい肉の匂いが漂ってきてた。値段も手ごろだし、これならば間違いはなさそうだ。
「オーシュット、入ろうか」
「よっし。クリックの兄ちゃん、わたし、食べるからな!たっくさん食べるぞ~!」
『もう、オーシュット、ホドホドにしなさいよ』
「なんだよマヒナ。マヒナだって食べたいんだろ?」
連れている相棒に何か言われたのか頬を膨らませる様子が愛らしいが、彼女は本当によく食べる。けれども僕の財布も今日はそれなりに膨らんでいるからきっと大丈夫だろう。するとキャスティさんがこっそり耳打ちしてきた。
「クリック、この店は時間制限があるけれど食べ放題なのよ。だからあまりお財布の心配はしなくても大丈夫よ。出禁になるかもしれないけれど」
「は、はは……オーシュットはそんなに食べるんですか?」
「なんともいえないわね……」
キャスティの言葉に一抹の不安を覚えつつも、僕たちは店の中に入るのだった。
果たして、キャスティさんの心配は現実のものとなった。オーシュットは店の在庫だった肉を食いつくしてしまい、もう閉店だと言われてしまった。それでも食い足りないらしいのだが、流石にキャスティが怒り、オーシュットはしゅんとしている。
可哀そうかな、と思い僕はオーシュットに屋台で見つけた串焼きを一本差し出すと、救世主を見るような目で見られてしまって少しだけ奇妙な気分になってしまった。
すると、丁度用事が終わったのかソローネさんがやってきた。
「やっぱりここにいたね。クリック、準備が終わったからホテルに行ってごらん」
人の悪い笑みを浮かべてソローネさんは笑う。これは、何かを企んでいるに違いない。それにテメノスさんが一緒に居ないのも気になるが、ホテルで待っててくれているのだろうか。だとしたら危ない。ニューデルスタは治安が決してよくはないから、テメノスさんみたいな美人を放っておく人間がいるわけがないだろう。
「ありがとうございます!じゃあ、僕はホテルに行きますね!」
キャスティさん達への挨拶もおざなりに、僕はホテルへと直行した。頭の中ではテメノスさんが暴漢に襲われている構図が浮かび、これでもかと脚を動かす。テメノスさん、どうか僕がたどり着くまで無事でいてください……!そう願いながら煌びやかな通りを駆け足で通り抜けると、そこには絶世の美女が居た。
否、あれは、テメノスさんだ。僕が間違えるはずがない。
ただし、普段来ている異端審問官の服装ではなく、胸元が大きく開いたナイトドレスに身を包んだそれは美しい女性(にしか見えない)だった。耳には瞳の色に合わせた翡翠の宝石をあしらった耳飾りに、純銀の美しい首飾りをつけて、爪も黒のナイトドレスに合わせた漆黒の美しい光沢をっていた。そして足元は黒のヒール。白銀の髪と白磁の肌に全身は黒、そこに唇に紅を刺しているから、とても印象的でいて、それで美しい。
「テ、テメノスさん……?」
「そうですが。というかクリックくん、随分と食べたようですね。すごい匂いがしますよ?」
「あ、すみません。オーシュットたちと食事をしていたので、肉の匂いがこびりついてしまったのでしょうか」
「まったく。でもまあ、このホテルには浴槽もありますから、そこで匂いや汚れは落としてもらいましょう」
「へ?」
テメノスさんの言っている意味がよくわからない。テメノスさんがそもそもこんな格好をしている意味もわからないのだが。
「匂いを落としたら、少し散歩でもしましょうか?ね?私も少し見せつけたいんです、君の事」
にっこりと笑うテメノスさんは、バッチリと決まっている化粧も相まってか想像以上の色気で僕は一瞬眩暈を起こしそうになった。
「クリックくーん、準備は出来ましたか?」
「は、はい!い、いえもう少し待ってください!」
「まったく、人をあまり待たせるものじゃないですよ」
「すみません……!」
僕用に、とソローネさんが選んでくれた衣服は、確かにサイズ的にも僕にぴったりだったのだが、いかんせん心許ない。普段鎧や剣を携えているからそう思ってしまうのか、連れ立つのがテメノスさんだからそう思うのか、それともその両方だろうか。とはいえ、基礎的な格闘技も訓練の一環で習っているから、よほどの手練れが来ない限りはテメノスさんを守る事くらいはできるだろう。そう思うことにした。
「お待たせしました、テメノスさん」
「おや、これはまた……馬子には衣装、とは言うものですねえ」
僕を見てテメノスさんはほう、と溜息をつく。元々上背もある僕に合わせたタイトなスーツは、僕を上流階級の人間に立派に見せていた。そもそも僕は没落したとはいえもとは貴族の出だからこういった装いは慣れているし、立ち居振る舞いも覚えている。勿論、レディの扱い方も。
今日はテメノスさんをレディとして扱えと、ソローネさんはそう言いたいのだろう。ということはソローネさんは矢張りテメノスさんの秘密を知っているのだろうな、と思うとやはりどこか悔しかった。その秘密は僕だけが知っていればいいのに。けれども、冷静に考えれば僕よりも共にする時間が長いのだから、知っていて当たり前だろう。己の嫉妬深さに情けなくなるが、ともかくこれは公然としたデートだ。僕はテメノスさんの手を取るとキスをして、それから恋人のように腕を組んだ。
「クリックくん?」
「今日一日は、こうしていましょう。それに、もうテメノスさんは僕のものです。そうでしょう?」
そういうとテメノスさんはほんのりと顔をあからめ、小さく「はい」と答えた。ああ、もう、なんて可愛い人なんだろう!抱きしめたくてたまらなかったが、それはもう少し後に取っておく。この可愛い人を、僕の恋人だと見せつけてからだ。
僕はテメノスさんと腕を組みながらホテルの階段を下りてゆくと、すれ違う人々が皆テメノスさんを見て溜息をついていた。いい気分だった。こんなにも綺麗な人を連れて歩ける、しかも恋人としてだなんて、これ以上のない幸福だった。
そこかしこから綺麗な人、お似合いね、だなんて声も聞こえてくる。当然だ、だって僕はもうテメノスさんのものだし、テメノスさんも僕のものなんだから。
ホテルから外に出ると、もう日が落ちる頃だった。ニューデルスタは夜になると顔を変える。煌びやかな宝石のように彩られ、大人たちの社交場になるのだ。僕たち二人はその煌びやかな街中を堂々と歩いていた。
「ふふ、なんだか場違いで面白いですね」
「場違い?何がですか?」
「だって私は、異端審問官ですよ?こんな格好をして街中を歩くだなんて、想像したこともなかったですから」
「でも、お似合いですよ。できればあまり人には見せつけたくないんですけどね」
「クリックくんは随分と嫉妬深いんですね。でも、少しだけその気持ちはわかるかも。私も、こんなに格好のいいクリックくんを、みせびらかしたくはありません」
「二人とも同じことを考えてたんですね。なんだか可笑しいです」
「ふふ、本当に。ねえ、クリックくん、少しお酒でも飲みませんか?」
「いいですけど、今のテメノスさんをお店で見せつけるのはあまり好ましくないから、どこかでいいお酒を買ってホテルで飲むというのは?」
「いいですね。ホテルから見える夜景を肴に、二人で乾杯しましょう」
そう微笑むテメノスさんは煌びやかな街の景観にも負けないくらいに綺麗で、思わず見惚れてしまった。
結局年代物の赤ワインを買い、それからつまみにと少しのチーズを入手して僕たちはホテルに戻った。せっかくだから、と景観の良い部屋を取っててくれたのはソローネさんらしい。あとでお礼をいわなければ。それからこの衣服の代金も。
「ね、クリックくん、今日はどうでした?楽しかった?」
「はい!それはもう!テメノスさんのお仲間たちとも初めてちゃんとお話をした気がしますけど、皆さん本当に良い方ばかりで……オーシュットの食欲には、ちょっとびっくりしましたけどね」
「ふふ、彼女、驚くほど食べるでしょう。けれどね、彼女たちの文化は、食べることが礼儀なんです。逆に言えば、食べるために殺す、というのでしょうか。ただ殺すだけではなく、食べることで相手に対して敬意を払う、そういう考え方のようです。原始的ですが、納得がいきますよね」
「聖火教のテメノスさんがそんなことを言っていいんですか?」
「おや?神官らしくないと言った君の発言ですか?それは」
「あ、あれは……!その……初対面で、驚いただけ……」
「私はね、元々孤児だからか、そこまで聖火教の教えにこだわるつもりはないんですよ。世の中にはたくさんの考え方がある。トト・ハハ島などは顕著ですけれど、西大陸だって考え方はかなり違います。そして、そういう考え方を押し付けるのも、違うと思うんですよね」
今日のテメノスさんは不思議と饒舌だった。酒が手伝っているのか、それとも相手が僕だからなのだろうか。だとしたら、嬉しい誤算だけれども。
「そうですね……ひとつの考え方にこだわりすぎていると、周りが見えなくなりますもんね」
「子羊くん、随分と成長したようですね」
「まだ子羊扱いなんですか?!」
「ふふ、冗談ですよ。君はもう立派な騎士です。聖堂機関は正直好きにはなれませんけれど、君の事は好きですよ、クリックくん」
「て、テメノスさん……その……それは……、うぬぼれて、いいんでしょうか?」
「うぬぼれるもなにも、私は秘密を明かした時から、君の事を好きでしたよ。というか、好きだからこそ怖かった。私の身体の事を知られて、君に気味が悪いと思われたらどうしようかと、ずっと悩んでました。だから、あの時は本当に怖かった」
きゅ、と自分の腕を抱きかかえるようにしてテメノスさんは俯く。俯いてしまったテメノスさんの顎に指を伸ばして、その顎をくい、とあげさせてから、僕はキスをした。
「クリック、くん……」
「そんなことは言わないでください。僕は、あなたを愛していますよ、テメノスさん」
「君はあの時もそう言ってくれたね」
「事実ですから。確かに、勢いで抱いてしまいましたけど、本当に愛しているんです。きっと、これからテメノスさん以上に愛する人なんて出てこないと思います」
「クリックくん……ありがとう」
にっこりと笑うテメノスさんは綺麗だった。この人は元々化粧なんかしなくたって綺麗なんだから、淡く化粧をしたテメノスさんは本当に綺麗で、いつまでだって見ていられる。
「そんなに見つめられると、恥ずかしいんですけど」
「テメノスさんが綺麗だから、いつまでだって見ていられるんですよ」
「まったく、口がへらないんだから」
「嘘じゃありません。でも」
「でも?」
「今日はこれで終わりたく、ありません」
そう言って僕は立ち上がると、テメノスさんの手を取り立ち上がらせて、横抱きにした。
「クリックくん?」
「今晩も……いいですか?」
耳元で囁くと、ぽっとその頬が赤くなる。意味を悟ったのだろう。テメノスさんがきゅ、と拳を握って小さく頷いた。
僕はそのまま寝台へと優しくテメノスさんを寝かせてから座る。そしてまたキスを落とした。今度のキスは慎重に、けれども深く。舌を割り入れると、テメノスさんは歓迎するように唇を開いてくれた。お互いの下が絡まり合い、ちゅぱちゅぱと音がする。耳だけで犯されそうだ。熱い舌が絡まり合い、どちらのものともいえない唾液がまじりあい、そして飲み込む。こくり、と喉が鳴ると、テメノスさんの細い腕が僕の首に絡んできた。もう一度キスをする。貪り合うように、深く、深く。
そうしている間に僕は性急にテメノスさんのドレスに手を滑り込ませて、淡い乳房を捕らえた。ドレスの下には何もつけていなかったようで、あっさりと掴める乳房をやわやわと揉みしだくと、テメノスさんから甘い声が上がる。
「んっ……ぁ……」
そのまま乳房を揉みしだきながら、乳首をつま先で弾くと、テメノスさんの身体がビクリと跳ねた。
「ぷは……あ……!クリックくん……」
蕩けた翡翠に映る僕の瞳は欲に燃えていて、テメノスさんの乳首を転がしたりドレスごしに舐めまわしたりして刺激を与え続けた。
「やぁ、あ……ちくび……だめ……っ!」
そうは言いながらも、腰を浮かしながら胸を逸らす動きはもっと、と強請っているようにしか思えない。もどかしくなって僕はどれすの上半身を脱がせて素裸にすると、桃色の乳首がぷっくりと立ち上がって欲を主張していた。可愛い。もっと、しゃぶりたい。食べてしまいたい。僕は僕の欲に忠実に、テメノスさんの乳首を食む。転がす。
「ぁんっ、ぁああんっ!乳首ばっかりじゃなくて……」
そう、テメノスさんは感じるところが沢山ある。僕はそれを知っている。テメノスさんの乳首を舌先で転がしながら、空いた手をドレスのスリットから入れて既に濡れて半分勃っているテメノスさんのペニスをゆるゆると刺激しだした。
「はぁん……おっぱいと、両方、……あ、や……!!」
気持ちよくて仕方がないのだろう。テメノスさんは腰を浮かせて涙を流して、僕に身体を押し付けてくる。正直僕の方も限界だった。だってこんな痴態を見せつけられているのだから。けれど、優しくしたい、テメノスさんはどこか自分の身体を忌避していて、恐れている節がある。だからゆっくりと愛してあげたかった。僕は自分の欲を必死に抑え込んで、ペニスの下の方にある秘所にゆっくりと手を伸ばすと、そこはすでに愛液でしとどに濡れていて、ぐちゃぐちゃになっていた。僕の指の二、三本は簡単に挿れてしまえた。
「やぁあああっ、くりっくくんの、ゆびっ!あつ……!」
僕はテメノスさんの乳房をしゃぶりながら、膣内で指をばらばらと動かすと、テメノスさんから甲高い嬌声が漏れた。そしてトロリと愛液が漏れてくる。
そこで、僕は漸くテメノスさんの乳房から口を離した。
「イッちゃいました?テメノスさん。すごく、可愛かったですよ……」
そう言ってキスをすると、テメノスさんは涙を流して首を横に振る。恥ずかしかったのだろうか、そっぽを向いてしまって僕の方を見てくれない。
「テメノスさん。挿れて、いいですか?」
「……今更、それを聞くの?」
「テメノスさんを怖がらせたくないんですよ。大事にしたい。愛してるんです」
そう言ってぎゅっと抱きしめると、僕の胸元から「はい」と小さな声がした。それがなんともいえず愛おしくて、僕はテメノスさんの旋毛にキスを落としてから、少し身体を離す。そしてズボンと下着を脱ぐと、怒張したペニスを取り出した。我慢に我慢を重ねていたからか、以前よりも大きくなっている気がするそれに、テメノスさんは目をぱちぱちとさせているけれど、大丈夫、というように肩を抱き優しく唇を重ねると、テメノスさんもにこりと笑ってくれた。
「挿れますね……」
「……はい、きて、……ちょうだい」
テメノスさん自ら秘所を指でこじ開けてくれて、それはそれはいやらしい光景だった。僕はペニスの先端部分をテメノスさんの秘所に宛がうと、ゆっくりと、ゆっくりと押し進めてゆく。
「は、あ……クリックくんのが……きて、る……!!」
「気持ち、いい、ですか……?」
「はい……と、ても……あぁん……っ、きてる……クリックくんの、おおきいのが……っ、わたしの、ナカに……っ!!」
実際テメノスさんのナカはトロトロで最高に気持ちが良かった。きっと後ろでもそうに違いないけれど、僕はテメノスさんに僕の子供を産んでほしくて、だからおんなのこになって欲しかった。実際におんなのこになったテメノスさんは可愛くて、きれいで、もうそうとしかいえなくて、堪らなかった。
「テメノスさん、テメノスさん、僕のおちんちんで、またおんなのこになってくださいっ!かわいい、テメノスさん……っ!」
「はいっ、わたし……クリックくんのおちんちんで、おんなのこに、なっちゃって……もう、それで、いいです……」
「テメノスさん……!!」
たまらなくなって、僕はずちゅん!と思い切りペニスをテメノスさんの奥へと押し付けてしまった。
「やぁんっ!急に来ないでっ!!はっ、やっ、あぁあっ!!」
「ご、ごめんなさい、テメノスさんがっ、可愛すぎて……!」
もう止まれなかった。せっかくのドレスも乱れて、煌びやかな装飾品と淡い乳房を揺らしながら僕の動きに合わせて揺れるテメノスさんはいやらしくて最高に可愛くて、僕は腰の動きを止めることなんてできなかった。やがて射精感がどんどんと高まってきて、僕はテメノスさんのナカにたっぷりの精液を吐き出した。
射精後のけだるさで、そのまま僕はテメノスさんの上に覆いかぶさってしまう。テメノスさんもイってしまったのか、ペニスからとろとろと透明な汁を垂れ流して全身で息をしていた。その気だるい表情もとてもいやらしくて、僕のペニスは再び元気になりつつある。
「やんっ、ちょっと、クリックくん‼!」
「ご、ごめんなさい……でも、もう一回だけ……」
言うなり、僕はペニスをぎりぎりまで抜きかけてからどちゅん!とテメノスさんの最奥まで一気に貫いた。
「ああぁ―――っ!やっ、そんな乱暴にっ!」
「テメノスさん、テメノスさん!僕っ、止まれませんっ!」
がつがつと腰を動かして、本当は優しくしたいのに、本能がそれを赦さなかった。僕はただひたすらにテメノスさんの奥を犯して、種付けをしたくて仕方なくて、腰を動かしていた。動く度にテメノスさんから甘い嬌声があがって、僕の耳を犯した。それはとても甘い毒で、僕の脳を麻痺させる。どんどんと正気を失って、僕はテメノスさんを犯すことだけを考えていた。細い腰をしっかりつかんで、その都度揺れるいやらしいおっぱいを見ているとずくりと腰が重くなる。また射精したくなって、僕はたっぷりとテメノスさんのナカに再び白濁を吐き出したのだった。
「もう……子羊くんじゃなくて雄羊くんですね……」
「ごめんなさい、テメノスさん」
「……どうして謝るの?」
「優しく、できませんでした。今日は優しくするつもりだったのに……」
「ふふ、気にしないで。私は、嬉しかったから……君は私の事を気味悪がらずに、たっぷりと愛してくれて、本当に、嬉しかった」
「テメノスさん……」
「それにね。もう君がいるから、悩む必要もないんだって、思えたし。いつまでも引きずるのも、おかしいでしょう?君がいてくれるのに」
「はい、そうですね。テメノスさんには、僕がいます。一生、離れません」
ぎゅっと抱きしめると、くすぐったそうにテメノスさんは笑う。
「ふふ、その言葉、絶対にわすれないでね……クリックくん」
「忘れるわけがありません!テメノスさんは、僕の、一番の、大切な人なんですから」
この温もりが愛おしい。絶対に、離したくない。誰にも離させない。
だって僕たちは、今、こんなにも幸せなんだから。
そう。この時は、本当に幸せだった。テメノスさんがいて、僕がいて……本当に、幸せだったんだ。